中野京子『名画の謎 陰謀の歴史篇』感想レビュー〜こんな人にオススメです

はじめに

今回は中野京子さんの『名画の謎 陰謀の歴史篇』を読んだ感想、レビューを書き、その上でおすすめできる読者像みたいなものを述べていきたいと思います。

感想・レビュー

中野京子さんが「陰謀」というテーマの元に絵画をピックアップし解説しているのが本書。表紙に使われているのはポール・ドラローシュの『ロンドン塔の王子たち』です。

流石文学にも造詣がある中野さんといったところで、文学的な表現が解説の随所に見受けられます。あと、各章の冒頭の文章にセンスを感じます。

二0一三年二月、歴史上の大ニュースが世界を駆けめぐった。

01 消えた少年たち 冒頭

スペインをヨーロッパの最強国へ押し上げ、「陽の沈むことなき大帝国」への礎を築いた、ハプスブルク出身の神聖ローマ皇帝カール五世、四十七歳の雄姿である。

03甲冑のダンディズム 冒頭

これは楽しい!

うわっはっはと画面から豪快な笑い声が響きわたり、見ているこちらまでつられ笑いしてしまう。

13 笑うコサック 冒頭

いかがでしょう。何だか「どんな絵なんだろう?」と好奇心を刺激されますよね。「トンネルを抜けると雪国」じゃありませんが、作品の冒頭は超大事。作者の文学的なセンスが伺われます。

この本はこんな人におすすめです

楽しく勉強したい

美術の解説書なのですが、先程も申しました通り語り口が魅力的なので楽しく読み進められます。

『恋文』(ヨハネス・フェルメール、アムステルダム国立美術館所蔵)
本書で扱われている作品の一つ。フェルメールが好きな方も是非。

硬い教科書の用な表現に飽きている方、退屈で読む気がしない方にお勧めです。

一歩踏み込んで勉強したい

本書で紹介されている作品はモナリザなどのようないわゆる美術史上に君臨する超有名作品と言うわけではありません。しかし、ヨーロッパの有名な美術館に所蔵されている作品ですので、知識があるとより一層楽しめるようになります。

『カール五世騎馬像』(ティッツィアーノ・ヴェッチェリオ、プラド美術館所蔵)
誰でも知っている絵というわけではありませんが描かれているのはカール五世であり、所蔵はプラド美術館。何気なく通りすぎてしまう絵画を少なくするように勉強しておくと美術館巡りは何倍にも楽しくなります。

「超有名な美術品は知っているよ!」という人はこの本を読むことで、より知識を深めることが出来るでしょう。

逆に、まずは超有名作品の背景や画家についてざっくり知識をつけたいという方は『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』(秋元雄史)方がオススメです。

ある程度世界史の知識がある人

世界史の教科書や本を読んでいるときに、◯◯三世や△△朝など、馴染みのない言葉が多過ぎてわけがわかならなくなった経験ありませんか?

『ロンドン塔の王子たち』(ポール・ドラローシュ、ルーブル美術館所蔵)
表紙にもなっている本作品。画面には緊張感が漂っています。この本を読んでからずっと実物を観たいと思っており、この前ルーブル美術館に行った時についにチャンス到来かと思ったのですが、出張中だったのか鑑賞には至りませんでした…。無念。
シェークスピアの『リチャード3世』が題材なのですが、人物名が似ているものが多く、中野さんの解説すら読むのに骨がおれます。

本書も歴史的な背景を学べるというメリットの代償としてこのような世界史用語がたくさん出てきます。はっきり言って何の知識もない状態で読み始めると挫折して積読行きになってしまう可能性があるので、世界史に疎い人は簡単な入門書を読んでからの方がベターです。高校で世界史を履修していた人なら大丈夫だと思います。

おわりに

万人向けというわけではありませんが、世界史や美術史の入門書をあらかじめ読んでおけば楽しめる一冊となっております。是非手にとってみてください!

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