『一目置かれる知的教養 日本美術鑑賞』感想・レビュー、◯◯な人にオススメです

はじめに

今回は『一目置かれる知的教養 日本美術鑑賞』の感想やレビュー、オススメの読者を書いていきたいと思います。

感想・レビュー

「非常に読みやすい本」というのが第一印象でした。

美術の解説書いうとどうしても専門用語やら歴史的背景やら画家の人物関係やらで解説書なのにも関わらず敷居が高くなってしまうのですが、本書はコンパクトにまとめられており専門用語も少ないため非常に読みやすい

『天橋立図』(雪舟、16世紀初頭、京都国立博物館)
雪舟は実際に景色を見ながら描いたわけではなく、なんと俯瞰から捉えて頭の中で再構成しながら作ったそう。その能力にはもちろんですが西洋画のような細密描写にも狂気すら感じます。

時代ごとに要点を3つ端的に提示し、代表作を数点挙げながら解説していくというスタイルをとっているため、各時代のポイントを的確におさえられるようになっています(例えば、「桃山時代を読み解く」では先に①織田信長や豊臣秀吉以降、安定に向かう社会で豪華絢爛な美術が台頭していく②各武将の権威を誇示するための城郭やその襖、屏風などが絵画の中心となる③一方、茶の湯の流行のように、「わびさび」の精神も流行に、といった要点が提示されています)。

それに加えて、この本の良いところは、「人と差がつく3つの味わい方」や「日本美術の鑑賞いろは」といった項目で具体的な鑑賞のアドバイスをしてくれている点です

『唐獅子図屏風』(狩野永徳、16世紀、宮内庁三の丸尚蔵館)
第三章の「桃山時代を読み解く」で解説されている作品。教科書などでみたことがあるという人もおおいのではないでしょうか。
この絵の実物を見たことがあるのですが獅子の毛が思ったよりも柔らかい印象を与え、もこもこな感じで可愛かったです。でもやっぱり目が滅茶苦茶怖かった。

もちろん鑑賞の仕方は自由なのですが、「さあ自由に見て感じてごらん!」と言われても困ってしまうのも事実。僕も学生時代美術が苦手だったのでよくわかります。自由に楽しむためにはまず基礎であり「型」が大事。そういった意味では情報をただ羅列している本よりは初心者に優しい本と言えるでしょう。

『富岳三十六景 神奈川沖浪裏』(葛飾北斎、19世紀、メトロポリタン美術館)
恐らく日本画の中で一番有名な絵。本書では「モナ・リザ」と並ぶと書かれています。
ブルーの鮮やかさが見事です。波に吸い込まれていく感覚が翻弄される船のおかげで感じられます。

◯◯な人にオススメです

日本美術に興味がある人

日本美術に興味がある人におすすめです。狩野永徳や北斎など名前ぐらいなら知っているけど教養としてもう少し詳しい知識もつけておきたいという人は読んでおくと良いでしょう

美術の知識があまりない人

「日本美術のなかであなたの好きな画家は誰ですか?好きな絵はなんですか?」と問われたときにパッと答えられる人にはこの本は向いていないかもしれません。

解説がシンプルで読みやすい分、情報量は控えめです。自分の興味は明確で特定の絵や画家の詳しい情報が欲しいという方にはもしかしたら物足りないかも。例えば、北斎に興味があり富岳三十六景を一枚一枚解説付けで鑑賞したいという方はこちらの『北斎 富嶽三十六景』(日野原健司 編)がおすすめです↓

「アートの世界に興味はあるけれど何がなんだかさっぱり…」という人には今回紹介している「知的教養」の方が指針となることでしょう

忙しい人

解説の前に要点が短くまとめてあるため忙しい方にもオススメ出来る一冊です。時間がないときには要点の箇所だけ目を通しておいて後で気になるところを詳しく読むということが容易にできます。

終わりに

はっきり言ってある程度知識がある人にはおすすめできませんが、「興味はあるけれども知識はない」「教養として勉強したい」という方には強くオススメ出来る一冊です。気になる方は是非。

この本と同じシリーズに西洋美術版もあります。こちらも非常に分かりやすい一冊となっています。合わせてどうぞ↓

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です