ムンクの『思春期』を解説~忍び寄る恐怖、大人になるということ

はじめに

今回はオスロ国立美術館所蔵、ムンクの『思春期』を解説していきます。

オスロ国立美術館、Wikipediaより引用

ムンクとは?

エドヴァルド・ムンク(1863~1944)はノルウェイの画家です。ノルウェイの軍医の子として生まれました。

若いうちから才能を発揮し、今日に残る傑作のほとんどは30代のうちに描き上げられています。クリムトなどと同じように世紀末を代表する画家(19世紀末のヨーロッパの憂鬱な雰囲気を描いた画家)ですが、他の画家達が聖書や神話などある程度予備知識が必要とされる絵を描いていたのに対し、ムンクは日常生活の一場面などをモチーフとすることが多かったため、日本でも知名度がありなおかつ人気です

『叫び』(ムンク、1893年、オスロ国立美術館)
「みんなが知ってる絵」を描きなおかつ画家の名前も有名というのはなかなかなく、ピカソと同じくらい偉大だと思うのです。

『思春期』解説

裸の少女がベッドに座っています。この文章だけ書くとなんかセクシーな感じがしなくもありませんが、絵を見てみると全くそのような雰囲気はありません。

『思春期』(ムンク、1894年、オスロ国立美術館)

タイトルが『思春期』となっているように、少女が思春期にいることが分かります。控えめな胸や幼い顔つきの割には大きくなってきている身体。

全体的に色調が暗く見ていて陰鬱な気分になります。少女が裸なことも目の保養というよりは痛々しいというか不安をあおられます。心配になってくる。

この絵のよくある解釈としては、初めての生理現象に戸惑う少女を描いたものであるということ。しかしこの絵には血の描写がないこと、そして他の絵、たとえば『マラーの死』では血まみれのシーツが描かれていることなどから、生理という解釈には反対意見もありますが、いずれにせよ、だれもが思春期に感じる不安、自分が精神的にも身体的にも変わっていく不安というのがこの絵にはよく表現されていると言えます。

特に怖いのは壁に映った影のようなもの。自分が新たな自分に飲み込まれていくという恐怖。人類が普遍的に持つ感情を表現しきったという点において素晴らしい絵であると言えそうです。

参考文献

この記事は『怖い絵』(中野京子)を参考にしています。

興味を持った方は是非。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です