ドビュッシー『牧神の午後への前奏曲』解説〜成立・特徴

はじめに

今回はドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』を解説していきます。

『牧神の午後への前奏曲』解説

成立

『牧神の午後への前奏曲』はフランスの作曲家、クロード・ドビュッシーが1892年から1894年にかけて作曲した管弦楽作品です。

この曲は、同時代のフランスの詩人で、ドビュッシーが敬慕していた詩人、ステファヌ・マラルメの詩『牧神の午後』に感銘を受けて作られたものです。

マネの『ステファヌ・マラルメの肖像』

詩の内容は夏の昼下がりに好色な牧神が昼寝のまどろみの中で官能的な夢想に耽るというもので、ドビュッシーの曲のイメージもそれにそったものとなっています。

特徴

演奏するオーケストラが大編成となってはいるのですが、ヴァイオリン・パートなどを分割したり、ハープの分散和音を多用するなどして繊細な音の動きを出すなど、同時代のヨーロッパで人気のあったワーグナーの重厚な響きとは対照的となっています。

ワーグナー

その他、タイトルが「前奏曲」のみで終わっているのも大きな特徴です。ドビュッシーは当初この曲を「前奏曲」、「間奏曲」、「終曲」によって構成された長大な楽曲として構想していましたが、「前奏曲」を書いたあとどうしても続きが書けず、1894年にベルギーで予定されていた初演も流れてしまいます。

その後も全く作業が進まず、ドビュッシーは結局この「前奏曲」だけで完成されていると結論づけました。それなのにタイトルの「前奏曲」が残っているため、少し不思議な印象となっています。

紆余曲折を経ましたが、1894年の暮れにパリで初演された『牧神の午後への前奏曲』はパリで大成功を収めました。

ニジンスキーによるバレエ化

また、ロシアのバレエダンサーのニジンスキーの振り付けによって『牧神の午後への前奏曲』は1912年にバレエとしても上演されました。その際の題名は『牧神の午後』でしたが、こちらは扇情的な振り付けが人々の関心を呼ぼました。

『牧神の午後』を演じるニジンスキー

参考文献

この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。

音楽の知識がなくても気軽に学べる本となっています。興味のある方は是非。

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