百人一首No99『人も惜し人も恨めしあぢきなく』解説〜作者、意味、品詞分解、修辞法

はじめに

今回は百人一首No99『人も惜し人も恨めしあぢきなく世を思ふゆゑにもの思ふ身は』を解説していきます。

『人も惜し人も恨めしあぢきなく世を思ふゆゑにもの思ふ身は』解説

作者は?

この歌の作者は後鳥羽院(1180〜1239)。第八十二代天皇です。

鎌倉幕府と対立しながら院政を行いますが、承久の乱に敗れて隠岐に長され、在島19年で崩御しました。

意味・現代語訳は?

『人も惜し人も恨めしあぢきなく世を思ふゆゑにもの思ふ身は』の意味・現代語訳は以下のようになります。

「人がいとおしくも、また人が恨めしくも思われる。おもしろくないものとこの世を思うところから、あれこれともの思いするこの私には」

品詞分解は?

①人も惜し

人…名詞

も…係助詞

惜し…形容詞シク活用の終止形

②人も恨めし

人…名詞

も…係助詞

恨めし…形容詞シク活用の終止形

③あぢきなく

あぢきなく…形容詞ク活用の連用形、ここでは「おもしろくない・にがにがしい」の意味

④世を思ふゆゑに

世…名詞

を…格助詞

思ふ…ハ行四段活用の連体形

ゆゑ…名詞

に…格助詞

⑤もの思ふ身は

もの思ふ…ハ行四段活用の連体形

身…名詞

は…係助詞

修辞法は?

句切れ

この歌は二句切れとなっています。二句の「恨めし」が終止形となっていますね。

倒置法

この歌は本来の語順が③④⑤→①②となるため。倒置法が用いられています。

参考文献

この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。

百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。