オーストリアで愛される曲、『ラデツキー行進曲』を解説〜作曲者は?「ラデツキー」とは?ニューイヤーコンサートの定番

はじめに

今回は『ラデツキー行進曲』を解説していきます。

『ラデツキー行進曲』解説

作曲者は?

『ラデツキー行進曲』の作曲者はヨハン・シュトラウス1世です。

ヨハン・シュトラウス1世は「ワルツの父」と呼ばれており、息子のヨハン・シュトラウス2世の『美しき青きドナウ』も有名です。

ヨハン・シュトラウス2世

「ラデツキー」とは?

題名になっている「ラデツキー」とは、当時のオーストリア帝国の将軍ヨーゼフ・ラデツキー。

ラデツキー将軍は、その頃オーストリア領だった北イタリアの独立運動を鎮圧したことで知られており、この勝利の祭典のために『ラデツキー行進曲』が1848年に作曲されました。

国民から愛される曲

『ラデツキー行進曲』は発表当時からオーストリア国民に好評を持って迎えられ、次第にオーストリア国民の愛国の象徴となりました。国家的な行事や式典でもたびたび演奏されています。

ニューイヤーコンサート定番の曲

この『ラデツキー行進曲』は毎年正月に行われるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤーコンサートで、かならず最後に演奏されるのが恒例となっています。

ウィーン楽友協会

ニューイヤーコンサートで長年演奏されてきたのは作曲家レオポルト・ベーニンガーによる1914年の編曲を底本とし、さらに大幅に改変されてきたものです。シュトラウス1世が最初に作曲したキリゼイル原典版とはかなり違っています。

また、2020年のニューイヤーコンサートからはベーニンガー版に代わる新たな楽譜が使用されるようになりました。これはベーニンガーが戦前にドイツのナチスに入党して活動していたことが問題視されるようになったからです。

参考文献

この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。

音楽の知識がなくても気軽に学べる本となっています。興味のある方は是非。