プラド美術館所蔵、ゴヤの『マハ』を解説~西洋美術で初めての○○

はじめに

今回はプラド美術館所蔵、ゴヤの『裸のマハ』と『着衣のマハ』について解説していきます。

プラド美術館館内、Wikipediaより引用
今回紹介する『マハ』の他にも、ゴヤの『マドリード、1808年5月3日』やベラスケスの『ラス・メニーナス』、ボスの『快楽の園』など見どころが多い美術館です。一度は行ってみたい。

『裸のマハ』と『着衣のマハ』解説

「マハ」とは?

そもそも「マハ」とはどんな意味なのか疑問に思う方がおられるかもしれません。「マハ」とはスペイン語で「小粋な女」という意味です

二枚並べられたマハの絵、Wikipediaより引用
こうして隣同士に並べてくれると見比べやすくて良いですよね

『裸のマハ』

西洋美術ではじめて女性のアンダーヘアを描いた作品です。神話以外の女性の裸体を描くことが禁じられていた当時、大問題となり、その騒ぎはなんとゴヤがカトリック異端審問所から召還を受けるまでに発展しました。

『裸のマハ』(ゴヤ、1795-1800、プラド美術館)
背景の黒と光に照らされたマハの裸体の明るさの対比が目を惹きます。裸体に目が行ってしまうのですが、ベッドのしわの描きこみも相当なものです笑
「マハ」という名にふさわしく、お高くとまっておらず親しみやすい表情です。

ベッドに横たわるマハは大胆でのびやかに流れるような筆触で描き込まれ、魅惑的な微笑を浮かべています。単純な構図でありながらマハが両手を頭の後ろに回して全身を晒しているなまめかしい作品です。

『着衣のマハ』

『裸のマハ』と対をなす、多少ポーズを変えて衣服を着せた作品。ペアで描かれた美術史上例を見ない異色作です。

『着衣のマハ』(ゴヤ、1800-05年、プラド美術館)
服を着ている分、裸のものよりも確かに挑発性が高まっている気がします。不思議。

妖艶な表情で挑発的な視線を投げかけてくる点は類似していますが、本作ではマハはボレロ風の上着の下に光沢のある白いストリップをまとっており、そのフォルムは衣装の下に息づく豊かな肉体を想起させます

筆遣いや色彩もより大胆で、唇の赤とピンクの頬紅が強調されています。裸よりも着衣のほうが官能性が高いという声も多いそうです

参考文献

『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』

『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』(大友義博)

美術に苦手意識がある人はこの本から読みましょう。