ダヴィッドの『テルモピレーのレオニダス』を解説〜鉄の結束

はじめに

今回はルーブル美術館所蔵、ダヴィッドの『テルモピレーのレオニダス』について解説していきます。

ルーブル美術館にあるダヴィッドの自画像

参考文献

この記事は『名画で読み解く世界史』を参考にしています。

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『テルモピレーのレオニダス』解説

テルモピレーの戦い

紀元前5世紀、小アジア西岸のイオニアの諸都市が自分達を支配するペルシアに反抗、ギリシャの本土に援軍を求めたことでペルシア戦争が始まります。

第二回のペルシア軍の遠征はアテネの重曹歩兵部隊が撃退、それを受けてペルシアのクセルクセス一世が約20万人の大軍を率いて第三回遠征を敢行します。

陸でこれを迎え撃ったのが鉄の結束を誇るスパルタ軍。スパルタのレオニダス王はギリシアへの隘路に当たるテルモピレーにてわずか300人でペルシア軍20万人と激突します。

スパルタ軍は3日間に渡って持ちこたえ、クセルクセス王のふたりの兄弟を討ち取るなど健闘を見せた末に玉砕しました。

しかしこの検討のおかげでペルシア軍の侵入を前にアテネに市民は避難を完了。ペルシア海軍を撃破し、さらに陸でもプラタイアにおいて勝利を収めました。

『テルモピレーのレオニダス』解説

新古典主義の画家ダヴィッドによって描かれた作品。この絵画にはなぜスパルタ軍の300人が20万人の攻撃を3日間も持ちこたえられたのか、その答えが明示されています。

『テルモピレーのレオニダス』(ダヴィッド、1813-14年、ルーブル美術館所蔵)

背景に見えるのが幅15メートルの隘路で、スパルタはこの幅15メートルの隘路に布陣することで大軍のペルシア軍が小部隊でしか展開できないようにしたことが分かります。

中央に描かれたレオニダスは死を前に瞑想しています。周りには武器をとろうとする兵士、花輪を捧げる者、彼らの栄誉を岩に刻む者などが描かれ、絶対の死が運命付けられた中での強い覚悟を物語っています。

戦いはギリシャ人の内通者がペルシア軍に抜け道を教えたことで突破口が開かれ、スパルタ軍の敗北となったといわれています。