ドビュッシー『夜想曲』解説〜成立、構成、「夜想曲」とは?

はじめに

今回はドビュッシーの『夜想曲』を解説してます。

『夜想曲』解説

成立

『夜想曲』はフランスの作曲家、ドビュッシーな1897年から1899年にかけて作った管弦楽曲です。

ドビュッシーがこの曲を作る際には、アメリカ耽美主義の画家、ジェームズ・マクニール・ホイッスラーの『青と銀色のノクターン』、もしくは、『黒と金色のノクターン落下する花火』から着想を得たと言われています。イギリス耽美主義の詩人、スウィンバーンの詩『ノクチュルヌ』から着想を得たとも言われています。

『黒と金色のノクターン』
スウィンバーン

耽美主義というのは19世紀後半にフランスやイギリスで起こった芸術潮流で、道徳性や合理性を否定して、美だけに最高の価値を求めるという運動です。

夜想曲とは?

夜想曲とはおもにピアノで独奏される短い曲の総称で、アイルランド出身のピアニストで作曲家でもあるジョン・フィールドが創始した名称です。

ジョン・フィールド

英語では「ノクターン」といい、ショパンによって発展させられ、以後様々なさっきょくかが手がけるようになっていきました。

ショパン

構成

ドビュッシーの『夜想曲』は「雲」「祭」「シレーヌ」の3曲で構成されています。

「雲」は空の雲がゆっくりと流れては消えていくさまを、「祭」は祭りの盛り上がりとその後の静けさを表現しています。

「シレーヌ」というのはギリシャ神話に登場する怪物のことで、セイレーンとも呼ばれています。海に住む怪物士レーヌの歌声やきらめく波を、女声合唱が加わったオーケストラが神秘的なひびきで表現しています。

ウォーターハウスの描いたセイレーン

参考文献

この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。

音楽の知識がなくても気軽に学べる本となっています。興味のある方は是非。