ショパン『別れの曲』解説〜成立、映画、込められた意味は?

はじめに

今回はショパン『練習曲集』作品10の「別れの曲」を解説していきます。

ショパン『別れの曲』解説

成立は?

ショパンが1832年に作曲した独奏ピアノのための『練習曲集』作品10には、24の練習曲が含まれていました。

練習曲といってもどれも芸術性に富んだものばかりなのですが、そのなかの第3曲が今の日本で「別れの曲」の愛称で有名な曲となっています。

映画『別れの曲』

この曲になぜ『別れの曲』という愛称が付いたのかというと、1934年にドイツで製作された若き日のショパンを描いた伝記映画でこの曲のメロディーがメインテーマに使われており、この映画の邦題が『別れの曲』だったため、日本でこの愛称が定着したからです。

ちなみに、ヨーロッパでは「Tristesse(悲しみ)」や「L’intimité(親密、内密)」「L’Adieu(別離)」などの愛称で呼ばれています。

込められた意味は?

ショパンがこの曲を書いたのは22歳のときで、ちょうど故郷ポーランドを離れ、パリに拠点を移した時期でした。

そのため、この曲には「パリでの成功を夢見る感情」と「故郷を懐かしむ感情」の両方が込められていると言われていますが、特にポーランドへの憧憬が強く表現されていると考えられています。

ショパン自身が弟子とのレッスンでこの曲を教えているとき、「ああ、私の故国よ!」と泣き叫んだというエピソードも、ポーランドへの想いを表したものという説を補強するものとなっているのではないでしょうか。

ワルシャワにあるポーランド博物館

参考文献

この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。


 

 

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