百人一首No1『秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ』解説〜現代語訳、品詞分解、現代仮名遣い

はじめに

今回は百人一首のNo.1『秋の田の仮庵の庵の苫をあらみわが衣手は露にゆれつつ』の解説をしていきたいと思います。

『秋の田の仮庵の庵の苫をあらみわが衣手は露にゆれつつ』解説

作者は?

作者は天智天皇(626〜671)。平安時代の天皇の祖でもあります。藤原鎌足らと蘇我氏を倒し、大化の改新を実現しました。

現代仮名遣いは?

現代仮名遣いは「あきのたの かりおのいおの とまをあらみ わがころもては つゆにぬれつつ」となります。

現代語訳は?

『秋の田の仮庵の庵の苫をあらみわが衣手は露にゆれつつ』の現代語訳は以下のようになります

「秋の田のほとりにある仮小屋の、その屋根を葺いた苫の編み目があらいので、私の衣の袖は露に濡れていくばかりである」

品詞分解は?

①秋の田の

秋…固有名刺

の…格助詞

田…名詞

の…格助詞

②仮庵の庵の

仮庵…名詞、農作業のための粗末な仮小屋のことです

の…格助詞

庵…名詞

の…格助詞

「仮庵の庵」という言い方は、同じ語を重ねて語調を整える用法です

③苫をあらみ

苫…名詞、菅や萱で編んだ菰。平安後期から寂しさや侘しさを思わせる語としてよく用いられました。

を…間投助詞

あら…形容詞の語幹

み…接続語尾

「を+形容詞の語幹+み」で「〜なので」という意味となるので、ここでの訳は「苫が粗いので」となります。

④わが衣手は

わ…代名詞

が…格助詞

衣手…名詞、衣の袖という意味の歌語(和歌にだけ用いられる語)

は…係助詞

⑤露にぬれつつ

露…名詞

に…格助詞

ぬれ…ラ行下二段活用連用形

つつ…接続助詞

京都にある天智天皇陵

参考文献

この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。

百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。