百人一首No19『難波潟みじかき芦のふしの間も』解説〜意味・現代語訳、品詞分解、縁語、掛詞、序詞

はじめに

今回は百人一首のNo19『難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや』を解説していきます。

『難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや』解説

作者は?

この歌の作者は伊勢(877?〜938?)です。

三十六歌仙の一人で、宇田天皇の中宮温子に仕え、温子の兄藤原仲平や宇田天皇に愛されました。古今集時代の代表的女流歌人です。

意味・現代語訳は?

『難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや』の意味・現代語訳は以下のようになります。

「難波潟の芦の、その短い節と節の間のような、ほんのわずかな間も逢わないまま、私にこの世を終えてしまえと、あなたは言うのでしょうか?」

知性と尊厳を感じさせる歌です。「きっー!」とキレ散らかすのではなく、皮肉もありつつ、それでいて愛情の深さも伝わってきます。

品詞分解(掛詞)は?

①難波潟

難波潟…固有名詞

②みじかき芦の

みじかき…形容詞ク活用の連体形

芦…名詞

の…格助詞

③ふしの間も(掛詞)

ふし…名詞

の…格助詞

間…名詞

も…係助詞

「ふしの間」が「節と節の間」という意味と「わずかな間」という意味の掛詞となっています

④逢はでこの世を

逢は…ハ行四段活用の未然形

で…接続助詞

こ…代名詞

の…格助詞

世…名詞

を…格助詞

⑤過ぐしてよとや

過ぐし…ガ行四段活用の未然形

てよ…完了の助動詞の命令形

と…格助詞

や…係助詞

縁語は?

この歌では、「節」「芦」、そして「世」が「節(よ)」と響き縁語となっています。

序詞は?

この歌では「難波潟みじかき芦の」が「ふしの間」を導く序詞となっています。

参考文献

この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。

百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。