チャイコフスキーのバレエ、『白鳥の湖』あらすじと見どころ

はじめに

今回はチャイコフスキーのバレエ、『白鳥の湖』のあらすじと見どころを紹介していきたいと思います。

『白鳥の湖』

基本情報

台本…ウラジミール・ベキチェフ、ワシリー・ゲリツェル

音楽…ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

振付…ユリウス・ウェンツェル・ライジンガー

初演…1877年3月4日モスクワ、ボリショイ劇場

構成…全4幕

あらすじ

第1幕

舞台はドイツのある王国です。城の近くの庭園で、王子ジークフリートの20歳の誕生日を祝い人々が踊っています。そこへ王妃が入ってきてジークフリートに次の日の舞踏会で花嫁を選び出すように促します。

青春時代を手放すことに憂鬱になるジークフリート。友人たちの踊りに続いて、乾杯の踊りで祝宴は締めくくられます。遠くに白鳥の群れが飛んで行くのが見え、ジークフリートは弓を手に狩りに出かけます。

第2幕

舞台は森の中の湖。「白鳥のテーマ」が前奏曲として流れ、悪魔ロットバルトが姿を現します。

湖に来たジークフリートは一羽の白鳥を見て矢を射ようとしますが、美しい王女の姿を見て驚きます。実はこの王女、名をオデットといい、悪魔の魔法によって白鳥の姿に変えられ、人間の身に戻れるのは夜の間だけという境遇に陥っていたのです。

オデットを救う方法は永遠の愛のみだとジークフリートは知ります。オデットに愛を誓いますが、再び悪魔が現れ彼女を連れ去ってしまいます。ジークフリートは彼女を救う決意をします。

第3幕

舞台は城の大広間。舞踏会には各国から花嫁候補の女性たちが招かれています。そこへファンファーレが鳴り響き、悪魔・ロットバルトに連れられて娘のオディールがやってきます。

ジークフリートは黒鳥オディールをオデットと勘違いし花嫁に選んでしまいます。その瞬間、城の外には王子の裏切りを嘆き悲しむオデットとの姿が。計略にはめられたことに気づいたジークフリートは絶望し、オデットの後を追います。

第4幕

舞台は再び湖のほとり。傷心のオデットが仲間のもとに戻ってきます。ジークフリートが許しをこいに戻ってきますがもはや後の祭り。嵐がやってきてオデットは湖に身を投げ、ジークフリートもその後を追います。

真実の愛の力によって悪魔は滅びます。ジークフリートとオデットはあの世で永遠に結ばれました。

みどころ

第1幕

王子・ジークフリートの友人たちによって踊られるパ・ド・トロワ(3人の踊り)は、準主役級のソリスト(階級が上のダンサー)が技を競い合います。

第2幕

第2幕見どころは湖の場面。オデットと白鳥たちによる「バレエ・ブラン」(白いコスチュームのバレエ)の優美な世界が堪能できます。中でもオデットが登場する瞬間は神秘的な音楽も相まって最高の雰囲気が作られます。一糸乱れぬ白鳥の整然とした群舞も要チェックです。

第3幕

第3幕の見どころは黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ(主役級男女二人の踊り)。ここではオディールの32回のグラン・フェッテ(くるくると何回も回転しながら足を曲げたり伸ばしたりする)が最高難度テクニックとしてプリマ(女性バレエダンサーの最高位)の技量の見せどころとなっています。

また、黒鳥の登場に先立って踊られる各国の王女たちの踊りや、スペイン、ハンガリー、イタリア、ポーランドなどの民族舞踏も面白いです。

参考文献

この記事は『名作バレエ70鑑賞入門 「物語」と「みどころ」がよくわかる』(渡辺真弓文・監修)を参考にしています。

分かりやすく書かれているのでバレエに興味はあるけど敷居が高いという方にはオススメです。