オルセー美術館作品解説~ゴッホの『自画像』

はじめに

今回はオルセー美術館所蔵、ゴッホの『自画像』について解説していきます。

ゴッホとは?

ゴッホとは?

フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、オランダのポスト印象派の画家です

主要作品の多くは1886年以降のフランス居住時代、特にアルル時代とサン=レミでの療養時代に制作されました。

感情の率直な表現、大胆な色使いで知られ、ポスト印象派を代表する画家である。 

ポスト印象派とは?

ポスト印象派 または、ポスト印象主義は、印象派の後に、フランスを中心として主に1880年代から活躍した画家たちを指す便宜的な呼称です

この区分は印象派に対する態度によるものであることから、様式的な共通性は希薄であり、それぞれの画家の画風は大きく異なる。

ゴッホの特徴

ゴッホがそれまでの印象派と大きく異なったのは、色彩を光の表現だけでなく、ッ感情を表現するものと考えたことです。

ゴッホは向日葵を見ても星空を見ても、そこに人間的な感情を感じ取り、色彩や形やタッチでそれを表現しようとしました。印象派は自分の目に映ったままを表現しようとしましたが、ゴッホはそこに自らの感情を投影しようとしたのです

ゴッホの有名な作品

ゴッホの有名な作品を紹介していきます。

『ひまわり』連作

1882年2月、ゴッホはパリから南フランスのアルルに移ります。パリに住んでいたころから日本へのあこがれを抱いていたゴッホは、アルルの澄んだ空気、きれいな水、黄色く輝く太陽をまるで日本の様だと感じたようです。

同年8月、ゴッホは『ひまわり』の連作を描き始めます。遅れてこの地にやってくる画家仲間、ゴーギャンの部屋を飾るためです。

1888年、個人像
1888年、滅失
手前のしおれたひまわりが不気味です
1888年、ノイエ・ピナコテーク所蔵
1888-89年、ロンドンナショナルギャラリー所蔵
1889年、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館所蔵
1889年、ファン・ゴッホ美術館所蔵
1889年、フィラデルフィア美術館所蔵
珍しく華やかな雰囲気

『夜のカフェテラス』

『夜のカフェテラス』(1888年、クレラ・ミュラー美術館所蔵)
いくらなんでも明るすぎませんか笑

『星月夜』

『星月夜』(1889年、ニューヨーク近代美術館所蔵)
幻想的
田舎の子供が夜、森のざわめきを聞いている…イメージです

耳のない『自画像』

数多くの自画像を残しているゴッホですが、おそらく最も有名な一枚。

右耳は既に失われています。

『自画像』(1889年、オルセー美術館所蔵)

『自画像』解説

『自画像』解説

生涯に多くの自画像を残したゴッホ。その中でも本作は、純粋性とリアリズムという点で際立っています

『自画像』(1889年、オルセー美術館所蔵)
背景のうねりが湯気のようです。スポーツ漫画やバトル漫画でよく使われるオーラーみたいです。
人を圧倒するというよりは痛々しい雰囲気

表情は不動で、強固な意志を内在させているかの様です。ひげの朱と衝突するような顔の緑は、抑制が効いた表情の下にある激しい情熱を伝えています

背景は不穏な渦巻き模様で、ゴッホの心がきわめて不安定であることを暗示しているかのようです。それもそのはず、これは耳を切り落とした翌年に描かれた作品です

オルセー美術館にあるもう一枚の『自画像』

ゴッホの自画像の多くは、アムステルダムにあるファン・ゴッホ・ミュージアムに所蔵してあるのですが、オルセー美術館にももう一枚あります。

1887年、オルセー美術館所蔵
顔が太陽のようです笑
ゴッホはきっとユーモアのあった人物だと私は思います

先ほどの自画像と異なり耳がまだある時期に描かれた作品。

言われてみると、背景の渦巻き模様や服や顔の細密描写など、1889年に描かれた絵の方が若干病的な雰囲気が漂っているように個人的には感じられます

参考文献

画家大友義博

『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』(大友義博)

美術に苦手意識がある人はこの本から読みましょう。

東京藝術大学 秋元雄史

『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』(秋元雄史)

西洋美術の知識が少ない人はまずこの本から読みましょう。

オルセー美術館 基本情報

開館日・休館日

開館日

火曜日、水曜日、金曜日、土曜日、日曜日 9:30~18:00(17:15から閉館館準備が始まります)

木曜日9:30~21:45(21:00から閉館準備が始まります)

休館日

毎週月曜日、5月1 日、12月25日

団体の来館時間は、火曜日から土曜日9:30~16:00、木曜日 20:00までとなります。予約が必要。

所要時間

一般には2~3時間と言われています。ただ、美術が本気で好きな方なら丸1日でも足りないとも言われています。

チケット

オンラインのサイトから購入が可能です(フランス語や英語などの外国語のみ)。

外国語が分からないよ、という方は現地で購入もできます。待ち時間は0分~20分程度。20分というと長く聞こえますが、待っている間にも各国からきた観光客の様子やセーヌ川を眺めているとそこまで退屈はしないのではないでしょうか。

ランチ

レストラン

営業時間 火曜日、水曜日、金曜日、土曜日、日曜日 11:45~17:30

木曜日11:45~14:45、19:00~21:30

 カフェ・カンパーナ

営業時間 火曜日、水曜日、金曜日、土曜日、日曜日 10:30~17:00

木曜日 11:00~21:00まで

カフェ・ド・ルウス

営業時間 9:30~16:45、木曜日19:45まで

お土産

美術館の入り口のすぐそば、または展示コースの内部にもあります。ショップには美術館ガイドブックから写真集・画集まで幅広い書籍が取り揃えられています。また美術館の作品に着想を得たグッズの他、ポストカードや文房具類など、オルセー美術館の思い出になるものばかりです。

営業時間

ミュージアム・ショップ: 9:30~18:00、木曜日21:30まで

販売カウンター: 9:30~18:00、木曜日は21:00まで

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