百人一首No20『わびぬれば今はた同じ難波なる』解説〜意味・現代語訳、品詞分解、句切れ、掛詞

はじめに

今回は百人一首のNo20『わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ』を解説していきます。

『わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ』解説

作者は?

作者は元良親王(890〜943)。陽成天皇(百人一首のNo13に歌が収録)の皇子です。

色好みの風流人として名高く、『大和物語』や『今昔物語集』に逸話が残ります。

意味・現代語訳は?

『わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ』の意味・現代語訳は以下のようになります。

「どうしてよいか行きづまってしまったのだから、今となってはもう同じことだ。難波にある澪標ではないがわ身を尽くしても逢おうと思う」

覚悟が伝わってくる歌です。少年漫画にある原点回帰的な熱さを感じます。後に悲劇が予感されますが、それでこそ愛は燃え上がる。

品詞分解(句切れ・掛詞)は?

①わびぬれば

わび…バ行上二段活用の連用形

ぬれ…完了の助動詞の已然形

ば…接続助詞

②今はた同じ(二句切れ)

今…名詞

はた…副詞

同じ…形容詞シク活用の終止形

ここまでで二句切れです。

③難波なる

難波…固有名詞

なる…存在の助動詞の連体形

④みをつくしても

み…名詞

を…格助詞

つくし…サ行四段活用の連用形

て…接続助詞

も…係助詞

「みをつくし」ほ「身を尽くし」と「澪標(船の船行の目印に立てられた杭)」の掛詞です

⑤逢はむとぞ思う

逢は…ハ行四段活用の未然形

む…意志の助動詞の終止形

と…格助詞

ぞ…係助詞

思ふ…ハ行四段活用の連体形

参考文献

この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。

百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。