ボッカチオの代表作は?~世界史解説

はじめに

今回はイタリアの詩人、ボッカチオの代表作を紹介していきたいと思います。

ボッカチオの代表作は?

ボッカチオとは?

ジョバンニ・ボッカチオ(1313~1375)はルネサンス期を代表するイタリアの詩人・作家です。

1313年にフィレンツェ商人の子供として生まれました(非嫡出子であり、出生地がパリという説もあります)。1325年にナポリで商人見習いとなりますがそこで文学に目覚め、『女神ディアーナの狩り』などの初期作品を書きます。その後、フィレンツェに戻り、1348年から1351年に彼の代表作となる『デカメロン』を書きます。1375年にイタリア中部のチェルタルドで死去します。

ウフィツィ美術館にあるボッカチオ像

『デカメロン』

ボッカチオはイタリア・ルネサンスの有名な人文学者と見なされていますが、彼の代表作として名を轟かせているのは何といっても『デカメロン』です

ウォーターハウスの描いたデカメロン

物語はペストから始まる

この『デカメロン』は、ペストの流行によってフィレンツェ郊外の屋敷に籠った10人の男女が退屈しのぎに1人が1日1話、10日間話をした物語をまとめた枠物語(物語の導入部を外枠として、その内部に短い物語を嵌め込んでいく入れ子構造の物語形式)となっています。

語り手の一人であるラウエッタ

物語のテーマ

そのテーマは悲劇、喜劇、卑猥、高貴など多岐に渡り、登場人物も王侯貴族から庶民に至るまでさまざまなものとなっています。物語の場所もヨーロッパのみでなく、中近東からアフリカにまで及んでいます。

語られる物語の中には、人間性の心理を赤裸々に示すリアリズム的な側面に、ユーモア、エロティシズムが織り込まれています。こうしたテーマの豊穣性と巧妙でテンポのいい語り口によって、『デカメロン』は発表当時だけでなく、その後も高い評価をされ続けている作品となっています。

1492年頃の版

その影響力

『デカメロン』は後世の作品にも大きな影響を与えました。その代表的なものとしては、チョーサーの『カンタベリー物語』や、マルグリット・ド・ナヴァルの『エプタメロン』が挙げられます。

『カンタベリー物語』
『エプタメロン』

その他にも、フランスの巨匠、バルザックが『人間喜劇』を『デカメロン』的な枠物語ベースで大きな連続物語を構築するなど、イタリアのみならずヨーロッパの多くの作家に影響を及ぼしたと言うことができます。

『人間喜劇』

参考文献

この記事は『人物で読み解く世界史 365人』(佐藤優監修)を参考にしています。

人にフォーカスを当てて世界史を勉強できる本。歴史にそこまで詳しくない人でも分かりやすく、集中力を持続して読める本です。