龍安寺石庭~枯山水とその意味について

はじめに

今回は京都の竜安寺石庭について解説していきます。

龍安寺石庭

龍安寺石庭

作者

作者は不詳です

枯山水

龍安寺石庭は、東西約二十五メートル、南北十メートルのわずか七十五坪の敷地に白砂を敷き詰め、十五個の石を配置した枯山水の庭園です。枯山水とは池や遣り水のような水を一切用いず、白砂を水に、岩石を山岳に、低く刈り込んだ樹木を岡や山々に見立て、大自然を凝縮して象徴的に表現するものです。

大仙院の枯山水、Wikipediaより引用

しかし、龍安寺の石庭では樹木は一切使われず、石組みや築山もありません。白砂と石だけのモノトーンの空間を、南と西の二方を囲っている油土塀が、その錆びた色合いにより引き立てています。

龍安寺石庭、Wikipediaより引用
いつの時代も鑑賞者を驚かせる工夫というのを作り手は考えているのですね

方丈から南向きに臨むこの庭は、西(右)側面の塀が手前から奥に向かって低くなるように作られています。また、石は方丈から離れるほど背が低くなるように配されるなど、目の錯覚を利用して奥行が強調されるのです

意味

この石庭は一体何を意味しているのでしょうか。一説には、「虎が、獰猛な子虎がほかの子虎を殺さぬように川を渡るため、親虎はそれぞれの子虎を連れて三往復半する」という中国の故事「虎の子渡し」を表現しているともいわれます。背の高い石と低い石を組み合わせ、その石を中心に波紋のように白砂に櫛目を入れ、激流を右へ左へと子虎を守りながら渡る虎の姿を表現しているように見えます。

石庭全景、Wikipediaより引用
抽象絵画と同じで、様々な解釈ができ自分でエピソードを創る楽しみが味わえるのが醍醐味

他にも大海原に浮かぶ島などさまざまな説がありますが、それだけにそれぞれの感じ方や解釈が許されているようにも思えます。

参考文献

『日本美術101鑑賞ガイドブック』

この記事は『日本美術101鑑賞ガイドブック』(神林恒道 新関伸也編)を参考にしています。

日本美術に興味あるものの何から読んだらよいか分からない人におススメです。