はじめに
今回は東京藝術大学大学美術館所蔵、、高橋由一の『鮭』を解説していきます。
『鮭』解説
所蔵先の美術館は?
「はじめに」でも述べましたが、『鮭』は東京藝術大学大学美術館に所蔵されています。2019年9月4日(水)現在では、「丸山応挙から近代京都画壇へ」展が開催されています。
描写
半身を切り取られた鮭が藁縄で壁に吊るされています。江戸時代からお歳暮に使われ、今でも正月向け商品として人気の高い新巻鮭を描いた油絵です。
浮世絵など二次元的な絵画が多く、写実的な表現が少なかった日本美術界。しかも、この絵が描かれた当時は写真がまだ貴重で、白黒の小さなものしかできない時代。モチーフは誰もが知っている「鮭」ですが、その質感、リアルさはさぞ人々を驚かせたことでしょう。
技法
鮭の真ん中の切り身はつややかで、油が乗っておいしそうに見えます。この部分の油絵は薄く、あっさりと塗られています。地塗りされていない洋紙に淡い朱色で調子がつけられ、その上に筋や骨が描かれ、一部に白色を混ぜた朱色が摺りこむように塗られているだけです。半透明の油絵具の重なりが効果的に用いられています。
一方、縄や鮭の頭、皮は乾いた感じがし、これらは油絵特有の粘り気を生かした厚塗りで、最後に細かく描かれたうろこも、上手くなじんで緻密な絵肌をつくっています。
高橋由一とは?
『鮭』を描いたのは高橋由一。幕末から明治初期に鉛筆画や水彩画、油絵などの西洋技法を日本に根付かせようとした先駆者です。
代表作は『鮭』の他に『花魁』や『豆腐』など。
『花魁』
『豆腐』
参考文献
『日本美術101鑑賞ガイドブック』
この記事は『日本美術101鑑賞ガイドブック』(神林恒道 新関伸也編)を参考にしています。
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日本美術に興味ある人は是非。