目次
はじめに
今回は百人一首のNo65『恨みわびほさぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ』を解説していきます。
『恨みわびほさぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ』解説
作者は?
この歌の作者は相模です。十一世紀半ばの人で、脩子内親王家に(しゅうしないしんのう)に出仕し、宮廷歌人として活躍しました。
この時代の女流歌人として、赤染衛門・紫式部・和泉式部と並び称されました。
意味・現代語訳は?
『恨みわびほさぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ』の意味・現代語訳は以下のようになります。
「恨んだ末に、もう恨む気力も失って、涙を乾かす間もない袖さえ惜しいのに、まして、この恋ゆえに世間に浮名を流して朽ちてしまうであろうわが名が、いかにも惜しいことです」
品詞分解は?
①恨みわび
恨みわび…バ行上二段活用の連用形、「わぶ」は動詞の連用形について、その行為をし通す気力を失う意を表します。ここでは「恨む気力を失って」の意味
②ほさぬ袖だに
ほさ…サ行四段活用の未然形
ぬ…打ち消しの助動詞の連体形
袖…名詞
だに…副助詞、程度の軽いものを挙げて、より重いものを類推させる
③あるものを
ある…ラ行変格活用の連体形
ものを…逆接の接続助詞
④恋に朽ちなむ
恋…名詞
に…格助詞
朽ち…タ行上二段活用の連用形
な…強意の助動詞「ぬ」の未然形
む…推量の助動詞の連体形に
⑤名こそ惜しけれ
名…名詞
こそ…係助詞
惜しけれ…形容詞シク活用の已然形
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。