バレエ『オネーギン』解説〜あらすじ、見どころ

はじめに

今回はバレエ『オネーギン』を解説していきます。

『オネーギン』解説

基本情報

原作

アレクサンドル・プーシキン『エウゲニー・オネーギン』

音楽

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(クルト=ハインツ・シュトルツェ編曲)

台本・振付

ジョン・クランコ

美術

ユルゲン・ローゼ

初演

1965/67年4月13日シュツットガルトバレエ団

構成

全3幕

あらすじ

第1幕第1場

舞台はラーリナ夫人邸の庭。ラーリナ夫人には二人の娘がおり、姉のタチヤーナは夢想家で、読書に夢中になっています。妹のオリガは陽気で明るい性格です。

タチヤーナの誕生日のお祝いの前に、ラーリナ夫人は古い言い伝えを話します。それは、「鏡を覗くと恋する人が現れる」というものでした。

オリガが鏡を覗いてみると、婚約者である詩人のレンズキーが立っています。

今度はタチヤーナが覗いてみます。すると、そこには見知らぬ人物が立っています。彼はレンスキーの友人で、ペテルブルクから来たオネーギンでした。

タチヤーナはこの都会的な青年に恋しますが、オネーギンは田舎娘のタチヤーナに全く関心を示しません。

第1幕第2場

舞台はタチヤーナの寝室へ。

タチヤーナはオネーギンへの熱い愛情を手紙に綴っています。夢の中で、鏡の中から現れたオネーギンと一緒に踊ったタチヤーナは夢見心地で手紙を書き上げます。

第2幕第1場

時はタチヤーナの誕生日へ。

オネーギンはラーリナ夫人邸での田舎での生活にうんざりしており、タチヤーナからの手紙にも苛立ちを抱いています。タチヤーナの誕生日祝に招かれたというのに、目の前でラブレターを破いてしまいます。

タチヤーナは深く傷つき、ラーリナ家の遠縁のグレーミン公爵が同情します。

一方でオネーギンは退屈しのぎにオリガに言い寄り、レンスキーを怒らせ二人は決闘することになります。

第2幕第2場

二人の決闘が行われます。荒涼とした野原で決闘が行われ、オネーギンは友人を殺してしまいます。彼は罪の意識に苛まれます。

第3幕第1場

舞台はサンクトペテルブルク。月日が経ち、放浪の末、オネーギンが戻ってきます。

公爵邸で舞踏会に出席したりオネーギンは、公爵夫人となったタチヤーナの美しさにに驚き、自分の犯したあやまちを深く悔います。

第3幕第2場

舞台はタチヤーナの私室。

タチヤーナはオネーギンからのラブレターに動揺を隠せません。そこに、激情にかられたオネーギンが入って、愛の告白をします。

タチヤーナは、依然として彼を愛していることを認めながらも、オネーギンの求愛を断ります。そして、彼の目の前で手紙を破きます。

オネーギンは絶望して去っていきました。

見どころ

あまりにも切ないストーリー。お互いの愛情が自覚できたとしても、それが実現されるには遅すぎる。我々が人生の中で直面する愛の不条理がこのバレエでは刻々と描き出されています。

踊りの見どころはなんと言っても終幕の「手紙のパ・ド・ドゥ」。タチヤーナが愛するオネーギンと決別する場面で踊られるもので、二人の切ない思いが表現されています。ラストということも相まって涙を誘わずにはいられません。

dvd

参考文献

この記事は『名作バレエ70鑑賞入門 「物語」と「みどころ」がよくわかる』(渡辺真弓文・監修)を参考にしています。

分かりやすく書かれているのでバレエに興味はあるけど敷居が高いという方にはオススメです。

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