目次
はじめに
今回はバレエ『リーズの結婚(ラ・フィーユ・マル・ガルデ)』を解説していきます。
『リーズの結婚(ラ・フィーユ・マル・ガルデ)』解説
基本情報
台本・振付
ジャン・ドーベルヴァル
音楽
フランス民謡など
初演
1789年7月1日ボルドー大劇場
原題『藁のバレエ、善と悪は紙一重』
構成
全2幕
あらすじ
第1幕第1場
舞台は農場。リーズは未亡人の農場主シモーヌの一人娘で、若い農夫のコーラスと愛し合っています。しかし、シモーヌは娘を金持ちの息子、アランに嫁がせたいと思っています。リーズは母親に言いつけられた仕事の手を休めてコーラスと愛を語らっています。
そんなところへ現れたのが金持ちぶどう園主のトーマスとその息子のアランです。リーズを息子と結婚させたいと言いに来たのです。
しかし、リーズはアランのおかしな格好を見て思わず笑ってしまいます。リーズは村人たちと麦畑へと刈り入れに行きます。
第1幕が第2場
舞台は麦畑。収穫祭を迎えて農夫たちが忙しく働いているところへリーズたちが到着します。
しばらくするとリーズはコーラスと逃げ出してしまい、取り残されたアランは皆にからかわれてしまいます。
人々が収穫の喜びを祝いながら踊り、リーズとコーラスもその中に加わります。そんなとき、嵐がやってきて皆が散り散りになります。
第2幕
舞台はシモーヌの家の中へ。ずぶ濡れになったリーズとシモーヌ。シモーヌはリーズを家に閉じ込めて一緒に糸紡ぎを始めます。
リーズはコーラスのことが気がかりです。やがて農夫たちが麦の束を運んできたので、シモーヌは農夫たちをねぎらうために出てきいきます。
リーズが幸せな結婚を思い描いていると麦の束の陰からコーラスが飛び出してきました。二人が抱き合っていると、シモーヌが戻ってきます。リーズは急いでコーラスを寝室に隠します。
シモーヌが家に戻ってきて、リーズを寝室に閉じ込め、その間にアランと父親、そして公証人を家に入れ、婚約を成立させようとします。
ところが、アランが寝室の扉を開けると目の前にいるのがリーズとコーラス。シモーヌは二人の愛の強さに打たれ、結婚を認めるのでした。
みどころ
このバレエは自由な恋愛がテーマとなっています。台本・振付のドーベルヴァルがこのバレエを思いついたのも『母親に叱られた娘』(P・A・ボードワン)という、納屋の中で母親に叱られた娘と去っていく青年の後ろ姿が描かれた版画を見てからだそうです。
フランス革命前夜に作られた作品だというのも面白いです。当時の人々この一見恋愛コメディにしか見えない作品から新時代の到来を感じ取っていたのかもしれません。
参考文献
この記事は『名作バレエ70鑑賞入門 「物語」と「みどころ」がよくわかる』(渡辺真弓文・監修)を参考にしています。
分かりやすく書かれているので観劇の前はもちろんですし、バレエに興味はあるけど敷居が高いという方にはオススメです。