目次
はじめに
今回はクリムト展2019にやってくる『ユディットⅠ』について解説していきます。
参考文献
この記事は以下の本、文献を参考にしています。
画家 大友義博
『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』(大友義博)
画家が監修してあるだけあって分かりやすいです。西洋美術の知識がない人はこの雑誌から入りましょう。
海野弘 クリムト
『グスタフ・クリムトの世界』(海野弘 解説・監修)
クリムトの絵1枚1枚に対して詳しく解説がなされています。興味を持ってもっと詳しく知りたくなった方は是非読んでみて下さい。
クリムトとは?
クリムトとは?
グスタフ・クリムト(1862〜1918)は、世紀末ウィーンを代表する帝政オーストリアの画家です。
クリムトの特徴
クリムトの作品の特徴は危険な匂いのする官能性です。女性の裸体、妊婦、セックスなどが主なモチーフとなります。
金箔を使用した絵も多く制作しており、この時期は「黄金の時代」と呼ばれています。金を扱う彫版師であった父、1873年のウィーン万博から始まったジャポニズムの流行の中で知った琳派から影響を受けていると考えられます。
金による平面的かつ装飾的な表現は、現実感を排した永久的な美しさを感じさせます。
風景画もかなりの数残しており、こちらは人の気配があまり感じられず、どことなく不気味な雰囲気です。
クリムトの『接吻』
『接吻』はベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館に収蔵されています。
クリムト自身と恋人エミーリエ・フレーゲがモデルだと言われています。
本作品はクリムトの作品の中でも特に有名です。その理由としては、接吻を扱っていることと、特異な構図、色彩ゆえと考えられます。
接吻する男女は花園の中で固く抱き合っており、花園は2人を包む楽園のように見えます。しかし、足元は死を表す崖となっており、愛と死が隣り合わせの存在として表現されています。
クリムト展2019
クリムト展2019
2019年、クリムトの作品を集めた「クリムト展 ウィーンと日本1900」が開催されます。
4月23日から7月10日まで東京都の上野・東京都美術館で、7月23日から10月14日まで愛知県の豊田市美術館で開かれます。
クリムト展の作品
クリムト展では多くの有名な作品が来日します。
『ユディットⅠ』解説
ユディットとは?
ユディットとは、旧約聖書の外伝に登場する未亡人です。 「ユディット」とは、〈ユダヤの女〉という意味。
ネブカドネザル王の総大将ホロフェルネスの率いるアッシリア軍に包囲された町ベトゥリアを救うため、彼女はきらびやかに身を飾り、召使い女一人を伴って敵陣を訪れます。
4日目にホロフェルネスが彼女を誘惑しようとして開いた祝宴の後、酔いつぶれた彼の首を剣で切り落とします。
このエピソードは多くの画家のモチーフとなり、カラヴァッジョ展2019にもユディットが展示されますので、こちらも参照してみてください↓
『ユディットⅠ』解説
クリムトの黄金の女のはしりともいえる作品です。
『ユディットⅠ』というタイトルから旧約聖書の一場面を描いていることが分かりますが、男の首は右下にちらりと描かれているだけで、クリムトが力を入れているのはあくまでむきだしの胸を黄金に包んだ官能的な女性像です。
まず目立つのは、犬の首輪のような黄金のチョーカーで、デンマーク王女からイギリス皇太子妃(後に王妃)になったアレクサンドラが当時流行らせた最新ファッションです。
アレクサンドラは首の傷を隠すためにつけていたそうですが、どことなくサディスティックな魅力を持っています。
この絵のモデルは、クリムトがその肖像画を描いたアデーレ・ブロッホ=バウアーではないかと言われています。
『ユディットⅡ』
タイトルが『ユディットⅠ』となっていることから推測できるように、『ユディットⅡ』という名前の作品もクリムトは描いています。
この絵はローマ国立近代美術館に所蔵してあるので、機会があれば是非観に行ってみて下さい。
クリムト展のレビューはこちら↓
楽しんできて下さい!