目次
はじめに
今回は、現在国立西洋美術館で開催中の松方コレクション展の感想とレビューを書いていきたいと思います。
混雑、混み具合について
皆が気になる込み具合ですが、私が行ったのは平日のお昼15時前。この段階でチケットを買うのに15分程度待ちました。入場規制は特にありませんでした。
もちろん、混み具合は時によって変わるのですがチケットは事前に買っておいた方が良いと思います。チケットはオンライン、上野駅内のチケット売り場で購入可能です。ただ、国立西洋美術館と提携している大学の学生は、窓口でチケットを買うと学生割引からさらに200円引きとなるので、余裕があるのなら並ぶのもいいかもしれません。
印象に残った絵
カミーユ・コロー『罪を悔ゆる女』
Ⅵの「ハンセン・コレクションの獲得」に展示されている作品
聖書に出てくるマグダラのマリアがモチーフとなっているのですが、森の中で一人でシトシトと泣く女性…何やら色々と邪推しています。果たして彼女の身には何が起こったのでしょうか。
シスレー『冬の夕日(サン=マメスのセーヌ河)』『サン=マメス 六月の朝』
シスレーは私の好きな画家の一人です。特定の人物をモデルに描く、というよりは風景画を数多く残している画家です。
孤独を好む画家だったのではないでしょうか。モネの絵からは何だか皆で楽しいピクニック的な雰囲気が醸し出されておりボッチには眩しくまることがあるのですが、シスレーの絵からは切なさとか惨めさ、やりきれなさを感じます。学校をさぼってしまい、家にも帰れず、不安を抱えながらも行く当てなくブラブラしている日に沸き起こってくるあの感覚です(あくまで個人的な感想です)。
ムンク『雪の中の労働者たち』
Ⅶ「北方への旅」に展示。
これは怖い絵で、特に労働者の顔がないのが印象的でした。「仕事によって顔(個性)を奪われる」「単純労働者とは代替可能な存在であり均質化された存在」という風に自分には読めてしまい、働くということに対して再考を促してくれる絵でした。
常設展も良い
展覧会に行った人はそのチケットで常設展に入ることもできます。
今現在特集されているフィンランドの女流画家の絵に加え、クールベやルノワール、ピカソなどの国立西洋美術館が所蔵している大御所の絵を楽しむことが出来ます(普段常設展に展示されているモネの絵は今回松方展に移動されています)。
現在常設展でも「モダン・ウーマン」といってフィンランドの女流画家の特展示をしており、エルガ・セーセマンという画家の絵がとても気に入りました。彼女の絵からは孤独や倦怠感を感じ、一人で旅行をしているときに見える景色と重なってくるものがありました。
松方コレクションにはゴッホやモネの絵は展示されていますが、誰もが知っているような画家の絵は案外少なかったという印象です。単純に美術鑑賞がしたくて、松方コレクションに見たい作品があるわけではないという方は、企画展の方はサッと流して常設展の方をじっくり鑑賞するのが良いのではないかと思います。