はじめに
今回は東海道五十三次のNo.1『日本橋 朝之景』の解説をしていきます。
『東海道五十三次 日本橋』解説
作者は?
作者は歌川広重(1797~1858)。
広重は火消同心職の安藤家の子として江戸に生まれ、幼名を徳太郎といいました。十三歳で家督を継ぎますが、浮世絵師の歌川豊広に入門、「広重」の名を受け、文政六年(1823年)からは作画に専念します。
「始まり」の図
この東海道五十三次の日本橋は様々な点で「始まり」となっている図です。
まずは、全55シリーズからなる東海道五十三次の最初の絵であるということ。名前の点では「五十三次」となっていますが実際は55枚あります。さらには日本橋というのがこれから始まる東海道ツアーの出発点となっていること。そして、描かれている時間帯が早朝となっており、一日の「始まり」にもなっているわけです。
そこのけそこのけ
画面中央には大きな橋が架かっており、その上を大名行列が通っています。橋の手前にいるのは魚屋たち。大名行列に対してはおどおどとした様子。
「大名と道を開ける民衆」という、ともすればシリアスな題材になりがちですが、漫画チックな登場人物たちの表情であったりとか、右側にいる可愛らしい犬たちによって、その緊張感が和らげられています。
日本橋の魚屋
この図が描かれた当時、日本橋の北詰には魚河岸がありここで魚屋たちは朝一番に魚を仕入れ、商いにでかけていきました。
荷を天秤に担いで売り歩く商人を棒手振りといい、彼らは日本橋を最も象徴する人物だったと言えるでしょう。
参考文献
この記事は『謎解き浮世絵叢書 歌川広重 保永堂版 東海道五拾三次』(町田市市立国際版画美術館監修 佐々木守俊解説)を参考にしています。
広重、東海道五十三次に興味ある方は是非。旅をしている気分になれますよ。