クリーヴランド美術館の作品解説~ピカソの『人生』

はじめに

今回はクリーヴランド美術館所蔵、ピカソの『人生』について解説していきます。

ピカソとは?

ピカソとは?

パブロ・ピカソは、スペインのマラガに生まれ、フランスで制作活動をした画家、素描家、彫刻家です

ジョルジュ・ブラックとともに、キュビスムの創始者として知られています。

キュビズムとは?

キュビスムは、20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって創始され、多くの追随者を生んだ現代美術の大きな動向です。

それまでの具象絵画が一つの視点に基づいて描かれていたのに対し、いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収めていることが特徴です。 

『女とマスタードポット』(ピカソ、1910年、デン・ハーグ美術館所蔵)
『ノルマンディーの小さな港』(ブラック、1909年、シカゴ美術館所蔵)

ブラックとは?

ジョルジュ・ブラック(Georges Braque, 1882〜1963)は、フランスの画家です。

ピカソよりも画家としてのキャリアでは劣りますが、絵画における発明の才はピカソも一目を置いていました。第一次世界大戦を挟んで画風は一変しますが、生涯に渡って絵を書き続けた画家です。

仲間から「白い黒人」と描写されるほど体格が良く、また好んでスーツを着るハンサムでした。

ピカソのフルネーム

ピカソのフルネームは、

パブロ・ディエーゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ。

です。

画風の変遷

青の時代、バラの時代、キュビズム、新古典主義、シュルレアリスムと様々な表現技法を用いたことで有名です。

詳しい解説は作品ごとにするとして、ここでは大まかなイメージを掴んで欲しいと思います。

青の時代(1901~04)

『人生』(1903年、クリーヴランド美術館所蔵)

バラの時代(1904~06)

『ガートルードスタインの肖像』(1906年、メトロポリタン美術館所蔵)

アフリカ彫刻(1907~09)

『アヴィニョンの娘たち』(1907年、ニューヨーク近代美術館所蔵)

分析的キュビズム(1909~12)

『マンドリンを持つ少女』(1910年、ニューヨーク近代美術館所蔵)

綜合的キュビズム(1912~18)

『カードプレイヤー』(1913-14年、ニューヨーク近代美術館所蔵)

新古典主義(1918~25)

『座って足を乾かす裸婦』(1921年、ベルクグリュン美術館所蔵)

シュルレアリスム(1925~36)

『ミノタウルス』(1933年、シカゴ美術館所蔵)

ゲルニカ(1937)

『ゲルニカ』(1937年、ソフィア王妃芸術センター所蔵)

有名作品

『アヴィニョンの娘たち』

あらゆる作品がインパクトを持っているピカソですが、その中でも特に有名なのは『アヴィニョンの娘たち』と『ゲルニカ』ではないでしょうか

『アヴィニョンの娘たち』は、当時モンマルトルでピカソと交流していた画家たちでさえ「ピカソは気が狂ったのではないか」と本気で心配するほどのインパクトを持っていたと言われています

「キュビズムの原点」と呼ばれる作品です

『アヴィニョンの娘たち』(1907年、ニューヨーク近代美術館所蔵)

『ゲルニカ』

1937年におこったスペイン北部バスク地方の小都市ゲルニカに対する無差別爆撃が主題になっています

「牛は○○、馬は○○」と多様な解釈が可能ですが、ピカソ自身は絵の中のものに意味を持たせることを避けています。

『ゲルニカ』(1937年、ソフィア王妃芸術センター所蔵)

『人生』解説

『人生』(1903年、クリーヴランド美術館所蔵)

『人生』解説

『人生』は制作当時から、「青の時代」を代表する作品として高く評価されてきました

裸のカップルが表す性愛に母子愛が対置され、愛の裏側に存在する孤独や苦悩がイーゼルに立てかけられたキャンバスに描き込まれるという複雑な構成になっています

母子像はこの時期に繰り返し描かれたモチーフであり、男女の性愛や画家のアトリエも生涯に渡って何度も描かれる主題です。その意味では、この時代のピカソの人生観や芸術観が凝縮された作品と言えます

『スープ』(1902-03年、オンタリオ美術館所蔵)

ちなみに、左側にいる男性は、カサジェマスという名のピカソの友人で、ピカソの「青の時代」が始まるきっかけとなった人物と言われています

カサジェマスとは?

カサジェマスはピカソとアトリエを共有していたほどの親密な友人です

カサジェマスはモデルのジェルメ―ルに恋をしますが、彼が性的に不能であったこと、ジェルメールに夫がいたことから振られてしまいます。

ピカソは彼を元気づけるために旅行をしたりしますが、うじうじしたままで一向に調子が戻らなかったため、ピカソは愛想をつかしてしまいます。

しかし、後にカサジェマスはパリで友人と食事をしている最中にピストルで自殺をしてしまい、これが永遠の別れとなってしまいます。

青い色彩は彼の自殺前にも見ることができますが、親友の自殺によってより一層明確になったとの見方が強いです

『白い服を着た女性』(カサジェマス、1898年、個人像)

参考文献

画家大友義博

『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』(大友義博)

美術に苦手意識がある人はこの本から読みましょう。

東京藝術大学 秋元雄史

『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』(秋元雄史)

西洋美術の知識が少ない人はまずこの本から読みましょう。

もっと知りたいピカソ

『もっと知りたい ピカソ 生涯と作品』(大高保二郎監修 松田健児著書)

ピカソの人生、交友関係についてもっと詳しく知りたくなった方は読んでみて下さい。