ジョルジュ・スーラ―の『グランド・ジャット島の日曜日の午後』解説~「すべてがあまりにも美しい」

はじめに

今回はシカゴ美術館所蔵、ジョルジュ・スーラ―の『グランド・ジャット島の日曜日の午後』を解説していきます。

シカゴ美術館、Wikipediaより引用

『グランド・ジャット島の日曜日の午後』解説

英語で何という?

英語ではA Sunday Afternoon on the Island of La Grande Jatteといいます

絵画の舞台となっているグランド・ジャット島、Wikipediaより引用
セーヌ川の島で住民が4000人ほど住んでいるそうです

ちなみに原語のフランス語はUn dimanche après-midi à l’Île de la Grande Jatteといいます

La Seine et le pont de la Grande Jatte、1887年、ゴッホ美術館
これはゴッホの絵

『グランド・ジャット島の日曜日の午後』解説

画面上の光、そしてタイトルから、舞台が日差しの強い日曜日の午後の一時であることが分かりますセーヌ川に浮かぶ島で思い思いにくつろぐ人たちの情景が描かれています。

日の射す芝生とすずしげな木陰のコントラストのおかげで、まばゆい夏の光の強さが際立ちます。パラソルを手に散策を楽しむ人々、花を摘む少女、トランペットを吹く人、川辺で釣り糸をたらす人もいます。川にはヨットやボート、白い煙を吐いてすすむ蒸気船が見えます。

『グランド・ジャット島の日曜日の午後』(1884~86年、スーラ―、シカゴ美術館所蔵)
本当に時が止まったかのような一場面。『フローズン・タイム』という映画を思い出します。
日差しが強いからでしょうか、皆さん日傘を差して長袖と日焼け対策は万全です。日傘は丸くてお洒落。流石はフランスといったところでしょうか。
手前の女性の足元にいるのは猿でしょうか?
画面中央と右奥にいる女の子が天使過ぎます。中央の女の子はいかにもお嬢様といった感じで白いワンピースに身を包んでいる姿は天使という言葉がよく似合います。右側の女の子は走っているのかダンサーの様にくるくると回っているのか。どちらにしてもこちらも可愛らしい。おそらく意図的に静と動の女の子を描き分けているのでしょう。

ぐっと近づいて画面を見てみると、この絵は光の粒をひとつひとつ画面に置いていくように小さな絵の具の点の集合からできていることが分かります。これは「点描法」というもので、キラキラ輝く光の印象を一層強めています

モネをはじめとする「印象派」と呼ばれる画家たちは、光の表現を追求してきたわけですが、かれらが移ろいゆく瞬間のイメージをスナップ・ショットのように描きとどめたのに対し、この作品では人物たちのポーズは様式化されており、不動の彫像のように見えます。全体の構成も垂直、水平の軸が強調され、モニュメンタルな印象を与えています

この絵は批評家アルセーヌ・アレクサンドルによって「すべてがあまりにも美しい」と評されました

「視覚混合」の理論

スーラ―は絵の具が混色によって明度が下がり暗く濁っていくことを避けるために、色を混ぜずにそのまま並置し、その色光を受け止める網膜をパレットにして混色する「視覚混合」という理論を絵画制作に応用しました

スーラ―は現場でのスケッチをもとに、光の微妙なニュアンスを再現するためにモザイクの様に小さな色点を根気強く並べていきました。これは非常に造形的な作業だったため、作品の完成までに3年かかったと言われています。

『シャユ踊り』(1889-90年、スーラ―、クレラ・ミュラー美術館)
ドガの絵と比較してみるとその堅固性というのが際立つかもしれません。
『エトワール』(ドガ、1878年、オルセー美術館所蔵)
ドガもデッサンを重視していたわけですが、その再現方法がスーラ―とは異なります。
ドガの絵を観るといつも人体ののしなやかさに驚かされます。踊り子の体の柔らかさがよく伝わってくる。

作者は?

繰り返しになりますが、この絵の作者は、ジョルジュ・スーラ―です。

スーラ―の写真

今回紹介した作品が代表作ですが、他にも『エッフェル塔』や『サーカス』などが有名です

『エッフェル塔』(スーラ―、1889年、デ・ヤング美術館)
おそらく昼のエッフェル塔だと思いますが、夜に見たライトアップを思い出します。これも色点の効果。
『サーカス』(スーラ―、1890年、オルセー美術館所蔵)
なんだかサンドアートみたいですね

参考文献

『西洋美術101鑑賞ガイドブック』(神林恒道、新関伸也編)

非常に読みやすい本なので、興味を持った方は読んでみて下さい。

『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』

『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』(大友義博)

美術に苦手意識がある人はこの本から読みましょう。