ミケランジェロのダビデ像について解説~いざ、決戦へ

はじめに

今回はフィレンツェのアカデミア美術館所蔵、ミケランジェロのダビデ像について解説していきます。

アカデミア美術館、Wikipediaより引用

『ダビデ像』解説

ダビデとゴリアテ

ダビデとは、旧約聖書によると、羊飼いから身を起こしてイスラエルの王となった英雄です。

イスラエル人はしばしばペリシテ人との戦いを繰り返していたのですが、中でも難敵だったのがゴリアテ。イスラエル軍の前に現れては挑発を繰り返し、人々は彼を恐れていました。

従軍していた兄たちに食料を届けるために戦陣をおとずれたダビデは、ゴリアトの挑発を聞いて奮起。その挑戦を受けることを決意します。初代イスラエル王サウルの前にでたダビデは、サウルの鎧と武器を与えられて身にまといましたが、すぐにこれを脱ぎ、羊飼いの杖と石投げだけを持って対決に向かいます。

ダビデvsゴリアテ
アウェーの雰囲気ですが、ダビデはほとんど装備なしと勇猛果敢に(?)立ち向かいます

ゴリアテはダビデを見ると、「お前を倒してその肉を鳥や野獣にやることにしよう」とまたしても挑発。

ダビデは、「わたしはお前が挑戦したイスラエルの戦列の神、万軍の主の名によってお前に立ち向かう。この戦いは主のものだ。主はお前たちを我々の手に渡される」とカッコいい台詞を言うと、ゴリアテに石を投げます。

石はゴリアテの額にめり込み、ゴリアテは倒れてしまいす。ダビデはゴリアテの剣を奪うとその首を斬り落としてしまいました。

『ゴリアテの首を持つダビデ』(カラヴァッジョ、1606-07年、ウィーン美術史美術館)
首といえばカラヴァッジョ。なんでも、ゴリアテの顔はカラヴァッジョ自身なのだとか。流石ユーモアの国イタリアですね。意気揚々と首を持って帰ってきたダビデが「とったどー!」みたいなノリで逆にちょっと怖い。
『ゴリアテの首を持つダビデ』(カラヴァッジョ、1607-08年、ボルゲーゼ美術館)
こちらもカラヴァッジョの作品。相変わらずゴリアテは画家自身がモデルです。ダビデの表情が嫌悪と哀れに満ち溢れていてこれはこれで面白い笑

ゴリアテを破ったダビデですが、彼が英雄として祭り上げられていることに嫉妬したサウルとひと悶着起こし、戦いになります。結局ダビデが勝利し、イスラエルの王となります(詳しくは別の機会に)。

『ゴリアテの首をもつダビデ』(グイド・レーニ、1604-06年、ルーブル美術館)
一風変わってこちらは冷めた表情。「こんなもんか、あっけなかったな」とでも言っているのでしょうか。王としての風格が醸し出されています。

『ダビデ像』解説

実物の大きさは何と4メートル以上と画像だけでは迫力を伝えられない本作。

『ダビデ像』(ミケランジェロ、1501-04年、アカデミア美術館)、Wikipediaより引用
その眼にはこれから対峙する敵の姿があるかのようです。
自分より遥かに大きな体の持ち主とこれから戦おうというのに(しかも裸)、物おじしている様子はまったくありません

引き締まった体躯の若者が、右手に石をしっかりと握りしめ、左肩に投石機をかついで、鋭い眼差しで前方をきっと見据えています。実際に私たちの目にはゴリアテの姿は見えないのですが、向かい合う両者の間で火花が散るような緊張感がびりびりと伝わってきます。

全身に力のみなぎるこの像は、軸足に体重をかけて軽く体をひねっています。こうした動感に満ちたポーズは、ミケランジェロが古代彫刻の研究から学び取ってきたものです。また、この虚像は、下から見上げてもバランスよく見えるように頭部と手がやや大きめに描かれています。

参考文献

『西洋美術101鑑賞ガイドブック』(神林恒道、新関伸也編)

非常に読みやすい本なので、興味を持った方は読んでみて下さい。