トゥールーズ=ロートレック美術館作品解説~ロートレックの『ムーラン・ルージュのラ・グーリュ』

はじめに

今回はトゥールズ=ロートレック美術館所蔵、ロートレックの『ムーラン・ルージュのラ・グーリュ』について解説していきます。

ロートレックとは?

ロートレックとは?

本名アンリ・マリー・レイモン・ド・トゥールーズ=ロートレック=モンファ。

一般的に姓は「トゥールーズ=ロートレック」、または単に「ロートレック」と呼ばれることが多い、フランスの画家です。

特徴

ロートレックは自身が身体的特徴から差別を受けていたためか、娼婦、踊り子のような夜の世界の女たちに共感し、パリのムーラン・ルージュをはじめとしたダンスホール、酒場などに入り浸りました。旺盛な性欲をもとに娼婦たちと頻繁に関係を持つデカダンな生活を送り、彼女らを愛情のこもった筆致で描きました

作品には「ムーラン・ルージュ」などのポスターの名作も多く、ポスターを芸術の域にまで高めた功績でも美術史上に特筆されるべき画家です

また、彼のポスターやリトグラフは日本美術から強い影響を受けていると言われています

『ディヴァン・ジャポネ』(1892年)

ポスター

『ムーランルージュのラ・グーリュ』1891年
『アンバサドールのアリスティード・ブリュアン』(1892年)

代表的な絵

『ムーラン・ルージュの舞踏会』(1890年、フィラデルフィア美術館所蔵)
『ムーランルージュにて』(1892年、シカゴ美術館所蔵)
『ムーラン通りのサロン』(1894年、トゥールズ=ロートレック美術館所蔵)

『ムーラン・ルージュのラ・グーリュ』解説

ラ・グーリュとは?

ラ・グーリュ(1886-1923)とはムーラン・ルージュの看板ダンサー。「モンマルトルの女王」とも呼ばれています。

ダンスの官能と情熱で観客を魅了し続けたラ・グーリュですが、それ以外のときには粗野で口が悪く、下品で冷酷な女だったと言われています

ニューヨーク近代美術館所蔵のロートレックの『ムーラン・ルージュに入るラ・グーリュ』では、そんな彼女がやや辛らつに描かれています。

『ムーラン・ルージュに入るラ・グーリュ』(1891-92年、ニューヨーク近代美術館所蔵)

現在は自身が活躍したモンマルトルの墓地で眠っています。

『ムーラン・ルージュのラ・グーリュ』解説

『ムーラン・ルージュのラ・グーリュ』1891年

数多くのポスターを描いたロートレックの一作目です

パリのナイトクラブであるムーラン・ルージュの宣伝用ポスターで、中央にラ・グーリュが描かれています。

人生の哀歓を描くことが多かったロートレックには珍しく、ここには人生の歌声が高らかに響き、歓びに満ちています

当時のポスター技術では微妙な色の変化や画家のタッチが再現できないことを逆手にとって、ロートレックは平坦な構図の中に色の効果を最大限に引き出してみせました大胆な省略によって作品に迫力を与えています

かねてより培っていた石版画の技術と浮世絵研究も、この大胆な構図を生み出した一因であると言えます

参考文献

画家大友義博

『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』(大友義博)

美術に苦手意識がある人はこの本から読みましょう

高階秀爾

『ヴィヴァン 新装版・25人の画家 第13巻 ロートレック』(高階秀爾監修、千葉順解説・編集)

ロートレックの絵1枚1枚について丁寧に解説されています。