『エルサレムを陥落させた十字軍』~第一回十字軍について解説

はじめに

今回はヴェルサイユ宮殿所蔵、エミール・シニョルの『エルサレムを陥落させた十字軍』について解説していきます。

ヴェルサイユ宮殿、Wikipediaより引用

『エルサレムを陥落させた十字軍』

第一回十字軍

十字軍とはイスラーム教徒からキリスト教の聖地エルサレム奪回を目指す戦いのことで、11-12世紀のあいだに断続的に7回行われました。

十字軍のエルサレム攻略

ことの発端は、11世紀半ば、イスラームのセルジューク朝の進出を受けたビザンツ帝国が、ローマ教皇に救援を要請したことにあります。 これを受けた教皇ウルバヌス2世は、分裂しついた東方正教会を吸収し、東西協会を統一する絶好の機会と捉えました。そこで、フランスのクレルモンで宗教会議を開き、ビザンツ援助を聖地エルサレム奪回の目的へと転化し、十字軍の結成を宣言しました。

教皇が、十字軍に参加すれば犯した罪の償いが免ぜられると説いたため、フランス、イタリアなどの諸侯らを中心に4軍団が編制され、1096年、巡礼者たちも含めた約10万人が第一回十字軍として出発します。

十字軍は地中海沿岸を征服しながら進軍し、1099年6月にエルサレムを包囲しました。とくに警戒していなかったイスラーム側は成す術なく破れ去り、十字軍はエルサレムの城壁に火をつけ、そのすきに城壁を伝って城内に侵入し占領しました。

第一回十字軍におけるエルサレム攻防戦

さらに、イスラーム教徒やユダヤ教徒の大量虐殺を行ない、略奪を働きました。今回紹介する作品はそのときの様子を描いたものです。

『エルサレムを陥落させた十字軍』解説

エルサレム入城前の熱狂を描いたものです。十字軍の人々の足元には虐殺されたムスリムやユダヤ人の遺体が横たわり、凄惨な光景が展開されています。

『エルサレムを陥落させた十字軍』(エミール・シニョル、1847年、ヴェルサイユ美術館所蔵)

画面左端に見えるのは岩のドームで、エルサレムの神殿の丘に建てられたモスク。現存する最古のイスラーム建築とされています。ムハンマドが大天使ジブリールに導かれて天を巡り、戻った場所とされる聖なる岩を祀るため、まず礼拝堂が建てられたのち、691年に巨大なドームが建立されました。

エルサレム、岩のドーム、Wikipediaより引用

参考文献

この記事は『名画で読み解く世界史』(祝田秀全監修)を参考にしています。

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