クリムト展に行って来ました〜「クリムト展 ウィーンと日本1900」レビュー

はじめに

今回は、実際に私が「クリムト展 ウィーンと日本1900」に行ってきたので、そのレビューや感想を述べていきたいと思います。

レビュー・感想

やっぱり基本は抑えてる

みなさん「クリムト」や「世紀末芸術」という言葉にどんなイメージを抱いていますか?

「官能的」や「黄金」、「装飾性」や「退廃的」といった語句が美術書や画集には並んでいます。確かに、展覧会の目玉作品となっている『ユディットⅠ』をはじめ、『女の三世代』などエロティックで危険なな雰囲気を漂わせているものが多いイメージです。

ただ、やはり歴史に名を残す画家だけあってクリムトは古典主義的(均整がとれていてる)な絵も非常に上手いです。画像は残念ながら貼れないのですが、第二部に展示してある『男性裸体像』など見事です。

下の画像は参考までに(今回は来日していません)。

『座っている男の裸体画』(クリムト、1879年)

子供の頃には「ラファエロの様に描けた」ピカソと同じで、一見「なんだこれは?」となるような絵を描いている人たちも、基本は抑えていると言うことを改めて実感しました。

幸せなパオロとフランチェスカ

続いてはグスタフ・クリムトの弟、エルンスト・クリムトの作品。

『フランチェスカと・ダ・リミニとパオロ』(エルンスト・クリムト、1890年頃、ヴェルデーレ宮殿所蔵)

「左上にあるのはもしかして桜かな?」などと考えていたら、タイトルを見てビックリ。パオロとフランチェスカ?

そう、あの地獄で風に吹き飛ばされているパオロとフランチェスカです(詳しくはこちらの記事を参照↓)。

この二人といえば地獄で抱き着いたまま嵐の中を飛び回っているイメージしかなかったので、いかにも幸せそうなカップルとして描かれているのには驚きました。逆に意表をついてきたのでしょうか?

ギュスターヴ・ドレとい画家のパオロとフランチェスカ

『女の三世代』の生々しさ

展覧会最後のセクション、「生命の円環」で主役を張っているのが本作品。

実際に見てみて思ったのが、やっぱり左の老婆の存在感が大きいということ(あと後ろにある大量の丸が虫の卵みたいで気持ち悪い)。

『女の三世代』(クリムト、1905年、ローマ国立近代美術館所蔵)

西洋絵画では程度の差はあれど「理想の肉体」を描くことが念頭に置かれていたのですが、ここではそんな伝統を挑発しているかの様です。

年老い、さらには胸の垂れている女性(他の作品を見た際にも思ったのですが、クリムトは垂れている胸を頻繁に描いている気がします)。当時の保守層はさぞ不快感を覚えてのではないでしょうか。

それにしても上部の真っ黒の空間が怖い。終末論的世界観とはよく言ったもので、「キングダムハーツ バースバイスリープ」のヴェン編のラスボス戦の雰囲気と似ており、若干懐かしい気持ちになりました

最後に

「1500円も払って混んでる美術館に行ってまで実物を見る意味があるのか?」ということをよく考えるのですが、今回に限っては「行って良かった」というのが正直な感想です

絵のサイズというのも世界観を表現する一つの重要な要素ですし、見たことのない絵画との刺激的な出会いがあります(今回で言えば弟クリムトの『フランチェスカとパオロ』など)。

『ユディットⅠ』の背景に描かれている突起状の意味深な模様なども、実際に見てみると虫が集まっているみたいで正直不快感を覚えたのですが、この感覚も画集では味わえなかったものです

7月10日まで開催中なので、お時間があればぜひ行ってみて下さい。

『ユディットⅠ』(クリムト、1901年、ヴェルべデーレ宮殿所蔵)