セストの絵画『レダと白鳥』を解説~白鳥は両義的存在

はじめに

今回はウィルトンハウス所蔵、セストの『レダと白鳥』を解説していきます。

ウィルトンハウス、Wikipediaより引用

セストとは?

チェザーレ・ダ・セスト(1477-1523)はイタリアの画家です

セストの彫刻、Wikipediaより引用

レオナルド・ダ・ヴィンチの影響を受けていると言われており、今回紹介する『レダと白鳥』にもスフマートの模倣が見られます

『サロメ』(セスト、1510-20年、美術史美術館)

『レダと白鳥』解説

描かれているのは白鳥とレダと卵から出てきた双子たち。この白鳥は実はゼウスで人妻であるレダを誘惑、レダは卵を産みます。ゼウスであるが白鳥が翼をレダの身体に回しているのが面白いではないですか。

『レダと白鳥』(セスト、1515~20年、ウィルトン・ハウス)

レオナルド・ダ・ヴィンチの影響を受けていると言われるセスト、何を隠そうこの絵はダ・ヴィンチの作品の模写。モナリザに見られるようなボヤケを出すスフマートはもちろんですが、レダの微笑みもモナリザの様ではないですか

この絵には「二」という言葉で説明できるものが多く含まれています。例えば左下の双子。双子が二組。上にいるのが男の子二人で手前にいるのが女の子です。

男の子はカストールとポリュデウケス。カストールはレスラーとして、ポリュデウケスはボクサーとして名高いです。実は双子座の双子はこの二人

女児の方はヘレネとクリュタイムストラ。ヘレネはトロイア戦争のきっかけともなった人物。クリュタイムネストラはトロイア戦争の総指揮官アがメムノンの妻でしたが夫の留守中愛人を作り、さらにはその愛人と謀って戦争から戻ってきた夫を殺してしまいます。

流石ゼウスの血が流れているだけあって皆さんキャラが濃い。

「二」の話でいうと白鳥はまろやかな女性的体を持ちつつ長く力強いという男性性を感じさせる首を持つという量義的存在。こんは話をきくと白鳥を今までと同じ様にはみれなくなってしまいますが教養として(雑学?)。

ダ・ヴィンチのオリジナルは残念なら今日では見ることができませんが、さぞかし美しい絵であったと想像させてくれる一枚です。セストに感謝。

参考文献

この記事は『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(中野京子)を参考にしています。

興味を持った方は是非。