はじめに
今回はウィーン美術史美術館所蔵、ルーベンスの『メデューサの頭部』とともに、ペルセウスとメデューサのギリシャ神話エピソードについて解説していきます。
いざ、メデューサ退治へ
ペルセウスとは、ゼウスとアルゴスの王女ダナエの息子(一体ゼウスには何人の子が入るのでしょうか)。ダナエの子に王位を奪われると神託を受けた父王アクリシオスのよってダナエと共に海に流されてしまいます。二人はセリポス島に漂着、漁師のディクテュスに助けられます。
しかし安心したのも束の間、ダナエの美しさに目をつけた島の王ポリュデクテス(ディクテュスの兄)がダナエを自分のものにしようとします。ペルセウスはこれに応戦。
ことがうまく運ばないポリュデクテスは、祝宴の進物を集めるといい、島の男たちに馬を差し出させます。馬を持っていなかったペルセウスは代わりにゴルゴンの首を差し出すと言ってしまいます(何でだ)。
こうしてポリュデクスがほくそ笑む中(ゴルゴンは目に見えたものを石にする、超恐ろしい怪物)、ペルセウスはゴルゴン三姉妹のうちで唯一可死であったメデューサ退治に向うことに…
VSメデューサ
ペルセウスは空を飛ぶことができるサンダルや鋭利な鎌、かぶると姿が見えなくなる兜を手に入れ(ハリーポッターみたいですね)、メデューサのもとに向います。
ペルセウスはメデューサが眠っているすきに姿が見えなくなる兜をかぶり空飛ぶサンダルで空中から近づくと、メデューサを見ないようにしてその首を鎌で切り落としました。そして、その首をキビシスという特別な袋に入れて持ち帰りました。
『メドゥーサの頭部』
首から流れ出した血を蛇たちが飲み、それを糧に成長するというおぞましい場面が描かれています。
そんな哀れなメデューサですが古代ギリシャ人はメドゥーサの姿を盾や寺院などに掘り込み魔除けとしていたそうです(倒せば味方になるRPG的な感じですかね?)。一方、バロック時代(17世紀~18世紀半ば)になるとメデューサの首は呪いを受けた魂や悪鬼の象徴として描かれるようになります。
ちなみに、周りにうじゃうじゃいるサソリやらトカゲやら蜘蛛やら蛇やらはメデューサの血から生まれてきた生き物たち。なんでもサソリの起源は、メデューサの血が砂漠に落ちたことなんだとか。
首から生まれたのは…
一応メデューサの名誉のために言っておくと、その血の中から生まれたのは虫やら爬虫類だけでなく、天馬ペガサスもその中にいたのです。何だかロマンがあって良いですね。
参考文献
この記事は『名画で読み解くギリシア神話』(吉田敦彦監修)を参考にしています。
美術、ギリシア神話に関する知識をセットで学べるオススメの本です。美術に興味がある方はもちろん、旅行好きの方にも読んでほしい一冊です。