モーツァルト『ロンド イ短調』解説〜哀愁漂う旋律、父親・親友の死

はじめに

今回はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト『ロンド イ短調』を解説していきます。

『ロンド イ短調』解説

成立

『ロンド イ短調』はモーツァルトが31歳のときに作曲したロンド形式によるピアノ独奏曲です。

この作品は1787年に作曲されたのですが、実はこの年はモーツァルトの父であるレオポルトが亡くなり、さらには親友のハッツフェルト伯爵も31歳という若さで命を落としていました。

レオポルト

そんな背景があるからか、本作は美しいメロディーを持ちながらも、どこか哀愁漂う曲となっています。

モーツァルト

構成

ロンド形式とは、異なる旋律をはさみながら主題を何度も繰り返す形式をいい、日本語では「輪舞曲」「回旋曲」と表記されることがあります。

『ロンド イ短調』は主題部A、挿入部B・CがA→B→A→C→A→Aという構成となっており、主題部分はアンダンテ(歩くような速さ)で、哀愁を含んだメロディーで演奏されます。

これは一般的なロンド形式の曲が明るく、速いテンポで演奏されるのとは対照的で、父親、親友と、身近な人たちの死がその曲調に起因しているのではないかと考えられています。

悲しい気分になったときなどに聴いてみて下さい。哀愁漂う旋律があなたに寄り添ってくれるはずです。

参考文献

この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。

音楽の知識がなくても気軽に学べる本となっています。興味のある方は是非。