はじめに
今回はエルミタージュ美術館所蔵、レオナルド・ダ・ヴィンチの『リッタの聖母』について解説していきます。
レオナルド・ダ・ヴィンチとは?
レオナルド・ダ・ヴィンチとは?
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519) は、イタリアのルネサンス期を代表する芸術家です。フルネームはレオナルド・ディ・セル・ピエーロ・ダ・ヴィンチ 。
音楽、建築、数学、幾何学、解剖学、生理学、動植物学、天文学、気象学、地質学、地理学、物理学、光学、力学、土木工学など様々な分野に顕著な業績と手稿を残したため、万能人と呼ばれています。
人体解剖
ダ・ヴィンチの興味はつまるところ自然の観察を通して人間とは何か、神とは何かを知ろうとすることでした。
ダ・ヴィンチが知ろうとした神は、いわゆるキリスト教的な神ではなく、森羅万象を司る宇宙法則のようなものでした。その背景にはそれまで絶対的なものであった教会の権威が、十字軍遠征の失敗やペストの流行などで揺らぎ始めたところがあります。
ダ・ヴィンチは宗教を超えて人体研究のための解剖学にものめり込むなど、様々なタブーに挑みます。極めて科学的人物だったと言うことが出来るでしょう。
作品
ダ・ヴィンチの代表作を紹介していきます。
モナ・リザ
西洋絵画において、背景をイメージとして描く手法や、やや斜に構えたポーズなど、肖像画の基本はすべて『モナ・リザ』から始まったと述べています。
さらに、 点描をぼかして描くことで輪郭線を使わずに人物を描くスフマートと呼ばれる技術も、後世に受け継がれているそうで、その影響力の大きさが窺われます。
受胎告知
最後の晩餐
キリストが12人の弟子に対し「この中に私を裏切る者がいる」と予言した晩餐の一幕。
『リッタの聖母』解説
『リッタの聖母』解説
聖母マリアの最も古い型とされる本作は「授乳の聖母」と呼ばれています。
聖母の腕の中で幼児キリストがお乳を飲みながら、左手にヒナを持っています。聖母の表情は慈愛に満ちており、優雅で繊細に描かれ、幼児キリストの表情は幼いながらも気高さを感じさせます。
筆触は繊細かつなめらかで、色彩も赤と青の対比が美しいです。近くを明確に描き、遠くを不明瞭に描く「空気遠近法」が用いられています。
ラファエロの聖母
同じ様に両脇に窓のある聖母子像をラファエロが描いており、ダ・ヴィンチのこの絵から強い影響を受けたと言われています。
参考文献
画家大友義博
『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』(大友義博)
美術に苦手意識がある人はこの本から読みましょう。
東京藝術大学 秋元雄史
『武器になる知的教養 西洋美術鑑賞』(秋元雄史)
西洋美術の知識が少ない人はまずこの本から読みましょう。
東京藝術大学 布施英利
『パリの美術館で美を学ぶ ルーブルから南仏まで』(布施英利)
パリの美術館に所蔵してある作品を基にフランス美術を解説。パリに行く人は読んでおきましょう。