はじめに
今回は源氏物語、若紫巻のあらすじを紹介していきたいと思います。
若紫巻 あらすじ
若紫(紫の上)との出会い
光源氏は病を治すために、有名な修験者(しゅうげんじゃ、山岳で修行をし特別な験力を獲得した者)が住む京都郊外の北山を訪れます。
修験者の治療を受け、夜も引き続き加持を受けることになりました。夜まで時間が空いた光源氏は、夕方の薄闇にまぎれて乳母子の惟光だけを連れて、僧侶の住む建物をのぞきに行きます。
建物の中には四十歳くらいの尼が座っています。彼女は経をよんでおり、使用人の小綺麗な大人の女房二人と、童女たちが見まえます。
そこに、一人の可愛らしい少女が駆け込んできました。彼女が紫の上です。
若紫と藤壺
紫の上は雀の子を犬が逃してしまったと泣いています。この若紫が光源氏が深く想っている藤壺に似ていたため、彼は涙が出るほど感動します。
それもそのはず、彼女は藤壺の姪だったと判明します。光源氏はなんとかして自分のもとに迎えられないかと祖母の尼君やその兄にかけあいますが、受け入れられないまま桔梗します。
ついに遂げられる光源氏と藤壺の逢瀬
光源氏が帰京した頃、藤壺は病にかかっており、実家で養生していました。
光源氏は藤壺の最も近くで仕える女房に手引を頼み、ついに逢瀬を遂げます(原文ではこの描写に過去の助動詞「し」が用いられており、二人の逢瀬が既に遂げられていたものとして描写されています。このように、経緯をあえて描かずに読者の想像をかきたてる描写法は『源氏物語』によく見られます。当時の読者はさぞびっくりしたことでしょう)。
光源氏と藤壺は互いに歌を送りあうのですが、光源氏の方が逢瀬の感動を詠んでいるのに対し、藤壺の方は世間の目を気にする内容。藤壺も光源氏を拒絶しているわけではないものの、ジレンマに苦しめられている様子が見てとれます。
そして、この二度目の逢瀬で藤壺は懐妊、何もしらない桐壺帝は素直に喜びます。
紫の上を救えるか?
場面は再び紫の上の方へ。彼女は元々母親をなくしていたのですが、祖母の尼君も帰京していた際に亡くなってしまいます。
紫の上の父である兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)は、紫の上を今の妻と住む屋敷に引き取ることにします。
しかし、この妻と言うのが曲者で、彼女はかつて紫の上の母をいじめ、それがもとで紫の上は死期を早めた経験があります。紫の上の世話をしている乳母も光源氏にこのことをつげます。
結局、光源氏が紫の上を秘かに自宅の二条院に迎え、救い出します。継子いじめは無事に回避されることとなりました。この二条院は紫の上の安住の地となります。
参考文献
この記事は『はじめて読む源氏物語』(藤原克己監修)を参考にしています。
知識ゼロからでも分かるように書いてくれているので、興味はあるけど取っつきにくいという方にもオススメの一冊です。