はじめに
今回は百人一首のNo.4 『田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ』 の解説をしていきたいと思います。
『田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ』解説
作者は?
作者は山辺赤人(やまべのあかひと)。
百人一首のNo.3『あしびきの山鳥の尾のしだり尾の』の作者である柿本人麻呂よりやや後の時代に活躍した宮廷歌人です。叙景歌にすぐれ、人麻呂と並び称されました。
現代語訳・意味
『田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ』 の現代語訳・意味は以下のようになります。
「田子の浦に出てみると、真っ白な富士の高嶺にしきりに雪がふっていることだよ」
百人一首の中ではシンプルな意味なのですが、ぱっと絶景が広がった時の感動がよく表現されていると思います。桜木町駅を降りた時に見えるランドマークタワーといったところでしょうか。
品詞分解・表現技法
① 田子の浦に
田子の浦…固有名詞
に…格助詞
田子の浦は駿河国(静岡県)の海岸。ただ、現在と同じ場所かは疑わしいと言われています。「に」はここでは作者が立っている場所を示しています。
② うち出でてみれば
うち出で…ダ行下二段活用の連用形
て…接続助詞
みれ…マ行上一段活用の已然形
ば…接続助詞
ここでの「ば」は已然形に続いているので確定条件で「~と」と訳します。「海辺に出てみると」ということですね。
③ 白妙の (枕詞)
白妙…名詞
の…格助詞
「白妙」は次の「富士」にかかる枕詞です。No.2の『春過ぎて』の部分でも出てきましたが純白のイメージを喚起する言葉なんですね。
④ 富士の高嶺に
富士…固有名詞
の…格助詞
高嶺…名詞
に…格助詞
⑤ 雪は降りつつ
雪…名詞
は…係助詞
降り…ラ行四段活用の連用形
つつ…接続助詞
「つつ」は反復と継続の接続助詞ですが、ここでは時間の経過がこめられ、雪があとから降ってくることを表します。
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。