はじめに
今回は百人一首のNo27『みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ』を解説していきます。
『みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ』解説
作者は?
作者は藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)。紫式部の曽祖父で三十六歌仙の一人です。
賀茂川の堤に邸宅があったことから「堤中納言」と呼ばれていました。
意味・現代語訳は?
『みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ』の意味・現代語訳は以下のようになります。
「みかの原を二分するように、湧き出てくるように流れる泉川ではないが、いったいいつ逢ったというので、こうも恋しいのだろう」
ただ単に「好き!好き!」と言うよりも、「いったいなぜこんなに恋しいのだろう」と言った方がお洒落で大人っぽい。スマートな歌ですね。
品詞分解(掛詞)は?
①みかの原
みかの原…固有名詞、京都府の現木津川市を流れる木津川の北側の一帯です。
②わきて流るる(掛詞)
わき…カ行四段活用の連用形、「分き」と「湧き」の掛詞となっています
て…接続助詞
流れる…ラ行下二段活用の連体形
③泉川
泉川…固有名詞、現在の木津川です
④いつ見きとてか
いつ…代名詞
見…マ行上一段活用の連用形
き…過去の助動詞の終止形
とて…格助詞
か…係助詞
⑤恋しかるらむ
恋しかる…形容詞シク活用の連体形
らむ…推量の助動詞の連体形
序詞は?
この歌では、「みかの原わきて流るる泉川」が、「いつ見」の序詞となっています。「泉川」と「いつ見」を並べることで音の流れが滑らかになっています
縁語は?
この歌では「わき」の「湧く」が、「泉川」の「泉」の縁語となっています。
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。