はじめに
今回は百人一首No70『さびしさに宿を立ち出でてながむればいづこも同じ秋の夕暮れ』を解説していきます。
『さびしさに宿を立ち出でてながむればいづこも同じ秋の夕暮れ』解説
作者は?
この歌の作者は良暹法師(りょうぜんほうし)。十一世紀前半の人物で、詳しい家系や経歴は不明ですが、延暦寺の僧で、大原や雲林院にも住んだと言われています。
意味は?
『さびしさに宿を立ち出でてながむればいづこも同じ秋の夕暮れ』の意味・現代語訳は以下のようになります。
「あまりの寂しさのために、庵を出てあたりを見渡すと、どこも同じように寂しい夕暮れであるよ」
誰もいない夕方の原っぱの様な光景、冷たい風の音だけが聞こえてきそうです。
品詞分解は?
①さびしさに
さびしさ…名詞
に…格助詞
②宿を立ち出でて
宿…名詞
を…格助詞
立ち出で…ダ行下二段活用の連用形
て…接続助詞
③ながむれば
ながむれ…マ行下二段活用の已然形
ば…接続助詞
④いづこも同じ
いづこ…代名詞
も…係助詞
同じ…形容詞シク活用の連体形
⑤秋の夕暮れ
秋…名詞
の…格助詞
夕暮れ…名詞、体言止め
参考文献
この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。
百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。