百人一首No63『今はただ思ひ絶えなむとばかりを』解説〜意味、品詞分解

はじめに

今回は百人一首のNo63『今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言ふよしもがな』を解説していきます。

『今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言ふよしもがな』解説

作者は?

この歌の作者は左京大夫道雅(さきょうのだいぶみちまさ)(993〜1045)。藤原道雅です。

幼いころ父の伊周(これちか)が失脚、さらに斎宮当子内親王との密通をとがめられ、生涯は不遇でした。乱行の噂が絶えず、「荒三位」とも呼ばれました。

意味・現代語訳は?

『今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言ふよしもがな』の意味・現代語訳は以下のようになります。

「今となっては、ただもうあきらめてしまおう、ということだけを、せめて人づてではなく、じかにお目にかかってお話しする手だてがあってほしいものだ」

品詞分解は?

①今はただ

今…名詞

は…係助詞

ただ…副詞

②思ひ絶えなむ

思ひ絶え…ヤ行下二段活用の連用形

な…強意の助動詞の未然形

む…意思の助動詞の終止形

③とばかりを

と…格助詞

ばかり…副助詞

を…格助詞

④人づてならで

人づて…名詞

なら…断定の助動詞の未然形

で…接続助詞

⑤言ふよしもがな

言ふ…ハ行四段活用の連体形

よし…名詞

もがな…願望の終助詞

参考文献

この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。

百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。