歌川広重の東海道五十三次No.7『藤沢 遊行寺』を解説~座頭、大山詣り

はじめに

今回は歌川広重の東海道五十三次『藤沢 遊行寺』を解説していきます。

『藤沢 遊行寺』解説

遊行寺と鳥居

対岸が戸塚宿側で、こちらが藤沢宿です。遠景の山上に見えるのが時宗総本山の清浄光寺(遊行寺)。

川沿いに右に延びているのが江の島弁財天の参道で、江の島道と呼ばれていました。入り口には鳥居が立っているのですが、この鳥居を背後から描いている点がこの図の特徴的な点となっています。

清浄光寺

座頭たち

剃髪した四人の盲人が鳥居をくぐり、江の島参詣に向おうとしています。彼らは座頭といい、音曲や按摩を業としていました。

江の島の弁財天は、杉山検校っがその霊験によって鍼術を会得したとの噂から盲人の信仰を集めました。四人の座頭たちが江の島を詣でるのはそうした信仰によります。

杉山検校、本名杉山和一の像は江の島にあります

大山石尊大権現

橋の上には長い木太刀を担いだ男がいます。これは大山石尊大権現の参詣人です。

参詣者は木太刀を担いで登山し、奥の院にこれを奉納したあと、すでに奉納してあるものを持ち帰りました。この男も帰る途中のようですね。

落語『大山詣り』には当時の大山参詣の盛況ぶりと、旅で起こった騒動のてん末が生き生きと描き出されています。

歌川国芳『大山石尊良辧瀧之図』

参考文献

この記事は『謎解き浮世絵叢書 歌川広重 保永堂版 東海道五拾三次』(町田市市立国際版画美術館監修 佐々木守俊解説)を参考にしています。

広重、東海道五十三次に興味ある方は是非。旅をしている気分になれますよ。