百人一首No96『花さそふ嵐の庭の雪ならで』解説〜作者、意味、品詞分解、修辞法

はじめに

今回は百人一首のNo96『花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり』を解説していきます。

『花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり』解説

作者は?

この歌の作者は入道前太政大臣(1171〜1244)。藤原公経(ふじわらのきんつね)です。

承久の乱の時、鎌倉幕府に内通し、乱後は栄進しました。娘婿の道家を関白に、孫娘を後嵯峨天皇の中宮にし、権力をふるいました。

意味は?

『花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり』の意味は以下のようになります。

「花を誘って散らす嵐の吹く庭は、雪のように花が降りくるが、実は雪ではなく、真に古りゆくものは、このわが身なのだった」

品詞分解は?

①花さそふ

花…名詞

さそふ…ハ行四段活用の連体形

②嵐の庭の

嵐…名詞

の…格助詞

庭…名詞

の…格助詞

③雪ならで

雪…名詞

なら…断定の助動詞の未然形

で…接続助詞

④ふりゆくものは

ふりゆく…カ行四段活用の連体形

もの…名詞

は…係助詞

⑤わが身なりけり

わ…代名詞

が…格助詞

身…名詞

なり…断定の助動詞の連用形

けり…詠嘆の助動詞の終止形

修辞法は?

掛詞

この歌では「ふりゆく」が、花が雪のように「降りゆく」という意味と、自分の身が「古りゆく」(年老いる)という意味の掛詞となっています。

擬人法

「花さそふ」という表現から分かるように、「花」と「嵐」が擬人化されています。

見立て

「雪ならで」は落花を雪に見立てた表現となっています。

参考文献

この記事は『シグマベスト 原色百人一首』(鈴木日出夫・山口慎一・依田泰)を参考にしています。

百人一首の現代語訳、品詞分解も載っています。勉強のお供に是非。