はじめに
今回はプラド美術館所蔵、ピーター・ブリューゲル(父)の『死の勝利』について解説していきます。
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『死の勝利』解説
本作品には、国王、傭兵、恋人たちなど、多様な階層の人々が描かれています。当時、ユーラシア大陸はモンゴル帝国の支配下にあり、東西を結ぶ交易が盛んになっていた時期でした。ペスト菌は中央アジアからイタリアのシチリア島へ上陸し、ノミの媒介によってイタリア半島へ至りヨーロッパ中へ広まったと言われています。
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死は平等、誰にでも訪れる。抗う術はありません。
ドラマチックルーベンスのようなドラマチックさがない分、粛々と蔓延していくペストの恐ろしさが伝わってきます。
黒い死体となって息絶えることから「黒死病」と恐れられましたが、致命的なことに医学知識はほとんどなく、膏薬を塗って治療しようとする有り様でした。その結果、ヨーロッパの全人口の三分の一が命を落としたと言われています。
この大量死は社会構造の混乱と価値観の変化をもたらしました。多くの人が亡くなったため農村人口は激減、生産システムは崩壊。
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猛威をふるう骸骨
派手さがない分無慈悲さが際立ちます
領主は労働力不足を補うために地代を軽減したり、農民の土地売買を認めたりするなど対策をとります。その結果、少額の地代を納めるだけの自由な独立自営農民が多くなり、ヨーロッパの領主は地主化し、衰退。ペストの流行によって、農業生産などの「もの」の価値から、お金が重視される貨幣経済への以降が加速させました。
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お父さんのものよりも幻想的な雰囲気が漂っています
参考文献
この記事は『名画で読み解く世界史』(祝田秀全監修)を参考にしています。
美術、世界史に関する知識をセットで学べるオススメの本です。世界史に興味がある方はもちろん、旅行好きの方にも読んでほしい一冊です。