モーツァルトの「ジュピター」解説〜成立、「ジュピター」とは?構成の特徴

はじめに

今回はモーツァルト『交響曲』第41番「ジュピター」を解説していきます。

『交響曲』第41番「ジュピター」解説

成立

「ジュピター」という愛称で知られている、モーツァルトの『交響曲』第41番は1788年に作曲されたものです。同年に作曲された第39番、第40番とともに「3大交響曲」と呼ばれています。

「ジュピター」とは?

この「ジュピター」というニックネームは、ヨハン・ペーター・ザロモンという人物によってつけられたといわれています。彼はハイドンを「ロンドン」と呼び12曲の交響曲の新作発表の機会を提供するなど精力的に活動した人物です。

「ジュピター」とはローマ神話の主神であるユピテルの英語読みです。ギリシャ神話のゼウスと同一視される存在であり、まさに神々の頂点です。

モーツァルトを尊敬していたドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスはこの曲を聴いて「私は天国にいるかのような思いがした」と語ったそうです。彼の言うとおり、聞いていると天上界の神殿にいるかのような気高さを感じさせてくれつつ、それでいて神話にありがちな、ちょっとお茶目な神々のドタバタ激を見せてくれているような、とにかく聴いていていて幸せになってくる曲となっています。

構成の特徴

「ジュピター」の構成の特徴は第4楽章にウェイトが置かれている点です。

第4楽章の冒頭で「ド・レ・ファ・ミ」の印象的なメロディが全音符で提示されるのですが、曲が展開するにつれてこの4音からなるメロディに3つの異なるメロディが組み合わせられます。

ド・レ・ファ・ミはジュピター音型と呼ばれることも

この複数のメロディを独立性を保ったまま調和させる対位法という技法を使って、4つのメロディがクライマックスを形成していきます。

モーツァルトの世代の交響曲では第1楽章が中心で最初の方にウェイトが置かれていたのですが、それとは対照的です。これは、後のベートーヴェンの交響曲にも繋がっていくものです。

参考文献

この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。

音楽の知識がなくても気軽に学べる本となっています。興味のある方は是非。