はじめに
今回はプラド美術館所蔵、ゴヤの『裸のマハ』と『着衣のマハ』について解説していきます。
『裸のマハ』と『着衣のマハ』解説
「マハ」とは?
そもそも「マハ」とはどんな意味なのか疑問に思う方がおられるかもしれません。「マハ」とはスペイン語で「小粋な女」という意味です。
『裸のマハ』
西洋美術ではじめて女性のアンダーヘアを描いた作品です。神話以外の女性の裸体を描くことが禁じられていた当時、大問題となり、その騒ぎはなんとゴヤがカトリック異端審問所から召還を受けるまでに発展しました。
ベッドに横たわるマハは大胆でのびやかに流れるような筆触で描き込まれ、魅惑的な微笑を浮かべています。単純な構図でありながらマハが両手を頭の後ろに回して全身を晒しているなまめかしい作品です。
『着衣のマハ』
『裸のマハ』と対をなす、多少ポーズを変えて衣服を着せた作品。ペアで描かれた美術史上例を見ない異色作です。
妖艶な表情で挑発的な視線を投げかけてくる点は類似していますが、本作ではマハはボレロ風の上着の下に光沢のある白いストリップをまとっており、そのフォルムは衣装の下に息づく豊かな肉体を想起させます。
筆遣いや色彩もより大胆で、唇の赤とピンクの頬紅が強調されています。裸よりも着衣のほうが官能性が高いという声も多いそうです。
参考文献
『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』
『一生に一度は見たい西洋絵画 BEST100』(大友義博)
美術に苦手意識がある人はこの本から読みましょう。