はじめに
今回はロンドン・ナショナルギャラリー所蔵、ティッツァーノの『バッカスとアリアドネ』について解説します。
ティッツァーノとは?
ティッツァーノとは?
ティッツァーノ・ヴェッチェリオ(1487頃~1576)はヴェネツィア派最大の画家です。
当時の画家としては人気も地位名誉も圧倒的で、その作風もからめて「幸せな画家」と呼ばれ続けました。
代表作
サロメ
ヴィーナス
↓こちらも参照
ダナエ
ピエタ
『バッカスとアリアドネ』解説
バッカスとアリアドネ
バッカスとはローマ神話におけるワインの神。ギリシャ神話のデュオニソスにあたります。
アリアドネとはクレタ島のミノス王の娘。英雄テセウスに恋をし、そのミノタウロス退治を手伝い、その後彼と共にギリシャに向かいますが、途中でナクソス島に遺棄されていまいます。
そこにバッカスが現れアリアドネ一目ぼれ。
アリアドネはバッカスに唇を奪われると先ほどの絶望はどこ吹く風。生きる力が猛然と湧いてきます。
バッカスは彼女を妻とし、黄金の王冠を送ります。彼女の死後、バッカスはその冠を空へと投げ、星座となりました。
『バッカスとアリアドネ』解説
明るく豊穣な色彩にあふれにぎやかな楽の音や喧騒まで聞こえてきそうな、祝祭気分満点の大作です。葡萄の葉で編んだ冠をかぶり、今しも二輪凱旋車から飛び降りようとする裸体の青年が酒の神バッカス。
一目ぼれをしたバッカスの表情は切迫そのもの。周囲にいる信者たちの緩んだ表情とは大違いです。
画面左側にいるアリアドネはその勢いに圧倒され逃げるように身をよじっています。まあ当然ですよね笑
画面手前のラオコーン像を模した大人のサテュロス、画面中央下で視線は鑑賞者に向け、愛くるしい笑顔を振りまきながらも血まみれの仔牛を引きずる幼いサテュロスなど、ユニークさが感じられる作品です。
ラオコーンについてはこちらを参照↓
参考文献
中野京子 名画の謎
『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(中野京子)
興味を持った方は是非読んでみて下さい!