はじめに
今回はミュンヘン・アルテ・ピナコテーク所蔵、フランソワ・プーシェの『ポンパドゥール夫人の肖像』について解説していきます。
参考文献
この記事は『名画で読み解く世界史』を参考にしています。
美術、世界史に関する知識をセットで学べるオススメの本です。世界史に興味がある方はもちろん、旅行好きの方にも読んでほしい一冊です。
『ポンパドゥール夫人の肖像』解説
ポンパドゥール夫人とは?
ポンパドゥール侯爵夫人は、ルイ15世の「公式の寵姫」、つまり愛人です。
「公式の寵姫」とは、フランス独自の国王の愛人制度で、国王のプライベートを支える一方、失策の際にはスケープゴートとなる役職でもありました。
文化の担い手としての役割も務め、ポンパドゥール夫人はセーブル陶器を輸出して産業の復興を推進したり、啓蒙思想家、芸術家の支援を行ったりもしました。
それだけでなく彼女は政治や外交に深く関わり、7年戦争ではオーストリア、ロシアと結んでプロイセンを包囲する「3枚のペチコート作戦」を練ったとも言われています。
7年戦争におけるドイツ側の視点も御覧になりたい方はこちらも参照してください↓
『ポンパドゥール夫人の肖像』解説
本作はプーシェが35歳の夫人を描いたもの。
笑みを浮かべた夫人の姿とともに、夫人の知性や芸術センスを示す品々(アトリビュート)が描かれています。
手に持った楽譜、背後に置かれた楽器は音楽への関心と貢献を示し、足元に置かれた書物はモンテスキューの『法の精神』と『百科全書』で、夫人の知性を示しています。彼女の蔵書は3525冊にも及んだとのこと。
ブーシェとポンパドゥール夫人
ブーシェはこの本作品の他にもポンパドゥール夫人の肖像画を何枚か描いています。
その上、彼女にエッチングを教えていました。
ブーシェはポンパドゥール夫人のために相談役としても働き、彼女の美術コレクション形成を助けたと言われています。