ベートーヴェン、『交響曲』第5番「運命」を解説〜その魅力

はじめに

今回はベートーヴェンの『交響曲』第5番「運命」を解説していきます。

『交響曲』第5番を作曲していた頃のベートーヴェン

『交響曲』第5番「運命」解説

演奏時間

この曲の演奏時間は約35分です。

初演

ベートーヴェンが『交響曲』第5番を初演したのは1808年の12月22日でした。「田園」という愛称で知られている第6番と同じタイミングで演奏されています(実は6番→5番の順番で演奏されています)。

初演が行われたアン・デア・ウィーン劇場

「運命」という愛称は第1楽章の冒頭で聴こえる「ダ・ダ・ダ・ダーン」というリズムが「まるで運命をが扉を叩くようだ」とベートーヴェンがいったという、弟子のシントラーの証言による、と言われています。

シントラー

魅力

この曲の魅力は出だしの迫力はもちろんですが、その革新性、オリジナリティにもあります。

ベートーヴェンはこの交響曲でオーケストラにはじめてトロンボーンという金管楽器を使用したのですが、これ以前の交響曲でトロンボーンは使用されていません。トロンボーンは、教会で合唱用の伴奏用に使用される楽器であって、交響詩のような世俗的な音楽で使用されることは考えられてなかったからです。

また、冒頭の「ダ・ダ・ダ・ダーン」というリズムは、後の作曲家にあまり用いられていません。どうしても聞いた人がベートーヴェンの「運命」を連想してしまうのが分かっていたからです。現に我々が聞いてもすぐにベートーヴェンのことを思い浮かべます。そういう点では、絵を見たら初見でも何となく誰の描いたものか分かる、ピカソとそのオリジナリティさでは通ずるものがあるのかもしれません。

冒頭部の楽譜、自筆

参考文献

この記事は『366日の西洋音楽』(久保田慶一監修)を参考にしています。

音楽の知識がなくても気軽に学べる本となっています。興味のある方は是非。