はじめに
今回はチャイコフスキーのバレエ、『眠れる森の美女』を解説します。
『眠れる森の美女』
基本情報
原作
シャルル・ペロー
台本
イヴァン・フセヴォロジスキー、マリウス・プティパ
音楽
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付
マリウス・プティパ
初演
1890年1月15日、ペテルブルク、マリインスキー劇場(帝室バレエ団)
構成
プロローグ付全3幕
あらすじ
プロローグ
フロレスタン王の宮廷ではオーロラ姫の誕生を祝う命名式が行われています。善の精リラをはじめ、優しさの精、元気の精、鷹揚さの精、勇気の精、のんきの精という6人の妖精がやってきてオーロラ姫に贈り物を授けていきます。
ここで、突然辺りが暗くなります。悪の精カラボスが手下を連れてやってきたのです。カラボスは自分が招かれなかったことに怒っており、姫が16歳になったときに、糸紡ぎの針に刺されて永遠の眠りについてしまうという呪いをかけます。
リラの精はそれに対抗し、姫は永遠に眠るのではなく美しい王子の接吻によって目覚めるだろうと呪いを和らげます。国王は国中の針の使用を禁止しました。
第1幕
時はオーロラ姫16歳の誕生日。宮殿の前では娘たちが針で仕事をしたところを咎められています。国王はオーロラ姫に求婚に来た4人の王子たちを連れてきていました。めでたい日だからと娘たちの罪も許されます。
庭園では祝宴のワルツが始まります。美しく成長したオーロラ姫が登場し、4人の王子たちは姫に踊りを申し込み、オーロラ姫もそれに応えます。
そんなところに現れたのが怪しい老婆。彼女がオーロラ姫に花束を贈ると、その中には針が隠されており、それに刺された姫は気を失ってしまいます。
老婆の正体はカラボスだったのです。彼女は高笑いしながら消えていきました。
悲しむ人々の前にリラの精が現れます。「姫は100年の眠りにつくだけ」と慰め、城は姫とともに深い眠りに閉ざされます。
第2幕第1場
時は流れ100年後。デジーレ王子が貴族たちと森に狩猟に訪れます。独りになった王子のもとにリラの精が現れ、オーロラ姫の幻影を呼び出します。
王子はその美しさにただちに魅了されます。王子はリラの精に導かれ、小舟にのって姫の眠る森へと向かいます。
第2場第2場
舞台はオーロラ姫の眠る城。城の周りにはカラボスと手下達が誰も近づけません。
王子はカラボスたちを追い払い、姫の眠る部屋へと急ぎます。眠っているオーロラ姫のもとに王子が駆け寄り、口づけをすると姫は目を覚まします。すると、王国全体も眠りから覚め、輝きを取り戻しました。
第3幕
オーロラ姫とデジーレ王子の結婚式が開かれます。ペローの童話の主人公たちによる踊りが繰り広げります。最後に、オーロラ姫とデジーレ王子が踊り、二人の幸福と王国の繁栄を願って幕がおります。
見どころ
このバレエの見どころはなんと言ってもオーロラ姫。姫としての気品と優雅さを見せつつ、第1幕から第3幕まで数多い出番を踊りぬく体力も必要とするまさに大役です。
プロローグの6人の妖精の踊りもそれぞれの性格がよく表れていて面白いですし、第3幕ではシンデレラ、赤ずきんなど、まさかのペローの童話の主人公たちがゲスト出演。テンションマックスになること間違いなしです。
参考文献
この記事は『名作バレエ70鑑賞入門 「物語」と「みどころ」がよくわかる』(渡辺真弓文・監修)を参考にしています。
分かりやすく書かれているのでバレエに興味はあるけど敷居が高いという方にはオススメです。