『ルイ14世』の絵画を解説~太陽王もご満悦の肖像画

はじめに

今回はルーブル美術館所蔵、イアサント・リゴーの『ルイ14世』について解説していきます。

ルーブル宮、Wikipediaより引用

『ルイ14世』解説

「朕は国家なり」

青年期のルイ14世、ルブラン、1661年

ルイ14世は王権神授説を根拠として、貴族を国王に対する助言者として宮殿に召集し、監視下におく、租税や関税などの国家の歳入を国王の懐へ入る仕組みに改造するなど、定型的な専制政治を展開し、強固な財政基盤を作り上げていきます。

こうして得た莫大な財産を背景に、1661年、ルイ14世はヴェルサイユ宮殿の造営を命じます。宮殿のみならず噴水を備えた豪華な庭園や、居室、王室礼拝堂、鏡の間などが次々に造られ、以降30年に渡って建設が続けられました。

造営初期のヴェルサイユ宮殿、1668年、フランス歴史博物館所蔵

そして1682年、宮廷がヴェルサイユへと遷され、ヴェルサイユはフランス革命まで王宮として利用されました。ルイ14世は華やかな宮廷で芸術を奨励し、フランスをヨーロッパ文化の中心にしました。

ヴェルサイユ宮殿、鏡の間、Wikipediaより引用
ゴージャス。ウィーンに行ったときも思ったのですが、こういう豪華な建築を見るとお金の使い道について考えさせられます。裕福になるといわゆる普通の衣食住では満足出来なくなってしまうんでしょうね。

戦争大好き太陽王

王朝の最盛期を築き太陽王と呼ばれたルイ14世ですが、戦争好きでも知られ、たびたび諸国の戦争に介入し、イギリスとの殖民地闘争を繰り広げました。

ライン川渡河作戦、1672年、ミューレン
一人だけ白馬に乗るルイ14世

親政を行った54年のうち、じつに32年間もフランスを戦争状態に置いており、その戦費は国家財政に重くのしかかったと言われています。

『ルイ14世』

莫大な富を築いたルイ14世の肖像画です。

豪華な衣装に身をまとう堂々とした姿。王笏に右手を預け、左手を腰にあて、見下ろすような視線は絶対君主としての威厳を表す表現しています。

『ルイ14世』(イアサント・リゴー、1701年、ルーブル美術館)
カメラの前でポーズをとるファッションモデルにしか見えません笑
やりたい放題の人生を送っているように見えますがNetflixの「ヴェルサイユ」というドラマを見ていると彼にも多くの苦悩があったようですね

とはいうものの、実際のルイ14世は160センチにも満たない背丈だったといわれており、ハイヒールや鬘を用いて身長を高く見せているようです。

本来高貴な人物の肖像画は、顔のデッサンをさせるくらいで、あとは代役や衣装のみを提供して描かれることが多かったのですが、この肖像画は国王自身が実際に長時間、画家の前にたって描かれたと言われています。拘りを感じますね。

その甲斐あってか、もともとスペイン王家に贈られる予定だったこの作品は、あまりの出来の良さからフランス国内に残されることになりました。

参考文献

この記事は『名画で読み解く世界史』(祝田秀全監修)を参考にしています。

美術、世界史に関する知識をセットで学べるオススメの本です。世界史に興味がある方はもちろん、旅行好きの方にも読んでほしい一冊です。