はじめに
今回は奈良県興福寺の見どころを紹介していきます。
興福寺 見どころ
歴史
藤原氏の氏寺
興福寺は奈良時代初期に権勢を誇った藤原氏の氏寺として栄えました。
興福寺は、大化の改新を断行した中臣(藤原)鎌足の夫人・鏡女王(かがみのおおきみ)が夫の病気平癒のために京都・山科に建立した山科寺をルーツとし、710年の平城京遷都の際、鎌足の次男不比等が現在地に移築されました。これを機に興福寺を改称され、平安京遷都後も長く繁栄を続けました。
法相宗の大本山
興福寺は南都六宗のひとつである法相宗の中心道場となり、日本仏教研究の水準を高めました。現在は法相宗の大本山として、薬師寺とともに約60寺を統率しています。
五重塔
見どころの一つは五重塔でしょう。
実はこの塔は5度の焼失・再建を経ており、現存しているのは室町時代に再建されたもの。それでも、高さ50.1メートルの塔は、江戸時代以前に再建されたものとしては東寺の五重塔に次いで日本第二位の高さを誇ります。是非、その圧巻のスケールを間近で体感してきて下さい。
興福寺阿修羅像
仏像の中で有名なのは何といっても阿修羅像。
戦いの神・アスラのイメージを模したものですが、いい意味でそうとは思えない憂を帯びた凛々しい少年のような表情が印象的です。
顔のモデルは奈良時代の男子と言われていますが、阿部内親王という聖武天皇と光明天皇の娘とする説もあります。
阿部内親王は日本史上唯一の女性皇太子で、のちに孝謙天皇として即位するのですが、皇太子になったのは政略によるものでした。そうした複雑なバックグランドが阿修羅像の表情に表れているのでは…とも言われています。
北円堂
藤原不比等を慰霊するための堂である北円堂も要チェック。
現存する八角円堂のなかでは最も美しいと言われており、奈良時代には平城京全体が見渡せる景勝の地だったとのこと。堂内には弥勒菩薩などの仏像や無著・世親など国宝の彫刻が並んでいます。
参考文献
この記事は『日本の古寺101選』(廣澤隆之監修)を参考にしています。
お寺に興味のある方はもちろんですが、旅行が好きな方も事前に読んでおくと、旅がぐっと豊かなものになりますよ。